2019年9月6日。
クールな部屋だった。
映像があって、それは菌の増殖かな、と思うような動き。
布がかけられている作品。
ドナルド・ジャットのように、同じような板が壁に並んでいる。
布をかけてある作品は、その布をとって、見てください、とスタッフにいわれ、そのように見たのだけど、何があるかわからなくて、そこに金属の板があるだけだった。
分からなくて、スタッフに聞いた。
写真のまだ完成していない時期。銀板を支持体としての写真は、不安定で、だけど、その過程を通して、写真は今につながっているのだと思うが、その銀板をそのまま再現しようとしている作品と知った。
菌の増殖に見えた映像は、銀板を電子顕微鏡で見ているもので、電子顕微鏡からのエネルギー?によって、変化しているということと聞いた。
布の下には、銀板の写真であってそこに像は写っているのだけど、薄くて、分かりにくい上に、光が当たると劣化が早いから、布で保護されている、ということらしく、それを聞いて、また見ると、少し見えたような気がする、というふうになったり、あと、板が並んでいるのは、まだ写真が完成する前に、いろいろな名前で呼ばれていて、それが27種あるので、それを植字した上で、鋳造で作った板ということだった。
聞いてから、またこの一望できる部屋を見ると、違って見えて、写真というものを完成させようというか、像を保存するという、おそらくは、不可能に見えた頃、それでもなんとかしていこう、といった人間の欲望みたいなものが形にしていこうとするような作品なのかもしれない、と思えるようになった。
(2019年の時の記録です。多少の加筆・修正をしています)。