アート観客   since 1996

1996年からアートを観客として見てきました。その記録を書いていきたいと思います。

「雪村 奇想の誕生」。2017.3.28~5.21。東京藝術大学大学美術館。

「雪村 奇想の誕生」。2017.3.28~5.21。東京藝術大学大学美術館。

2017年4月18日。

 声をかけてもらって、ハガキをいただき、その書道展を見に行ったあと、上野の公園を通り過ぎて、いろいろなものが意外とあったり、外国人観光客が思った以上に大勢歩いているのだから、もっと商売が普通に出来そうなのに、などと思いながら、歩いて、藝大に着いたら、入り口の付近で八谷和彦がいたような気がして、この前来た時は、高畑勲がいたりして、気分があがる。

 

 藝大美術館に来るときは、帰りに学食にも行けるし、といったことが楽しみでもあるが、雪村展は、聞いたことがない人だけど、妻が友人から招待券と割引券をもらったので、それで行くことにしていて、その途中で書を見ることも出来た。

 

 展示室に入ると、絵は全般的に茶色だった。畳を下に敷いてある何十年も前の新聞紙が不思議に全体的に茶色くなっているときがあるけど、それを思い出した。もう百年以上前のものだから、古くなって当たり前で、逆にいえば、保存されているだけでも凄いことなのだろうけど、でも、ふるーい気持ちにはなってしまった。龍とか、山や川の風景などは、なんだか見たような、決してうまくは見えないズレとか、ゆがみがある絵が並んでいる。
 
 自分の理解も含めて、見る力の問題もあるのかもしれないが、途中で少し退屈になってしまった。それが、最後の方になって、ちょっと自由になってきて、技術的にもうまくなってきたように見えて、面白くなってきた。
 

 その絵画が、パンフレットなどでも大きく扱われている「呂洞 図」だった。龍に乗った人が、神みたいな存在のはずなのに、表情が豊かで、アニメみたいで、晩年で、この雪村という人は、80歳を超えて生きていたみたいなので、もう何をやってもいい、といった気持ちになっていたから、この晩年の作品というのが、なんだか面白くなってしまっていて、ドラマチックというか、人間とか、そういうものも禅を基盤として、描きたいものを描いている、というような印象はあった。

 

 

 

「雪村」(東京藝術大学大学美術館)

https://museum.geidai.ac.jp/exhibit/2017/03/sesson.html