アート観客   since 1996

1996年からアートを観客として見てきました。その記録を書いていきたいと思います。

ヨコハマトリエンナーレ2017「島と星座とガラパゴス」。2017.8.4~11.5。横浜美術館。

ヨコハマトリエンナーレ2017「島と星座とガラパゴス」。2017.8.4~11.5。横浜美術館

2017年10月30日。

 ずっと見て来たから、今回も行かないと、という誰も強制していないのに、自分の中にそんな規則が出来ていて、これが継続は力になって、自分も引っ張るということかもしれなくて、それがいいか悪いかは分からないものの、いつも2001年にこのトリエンナーレが始まって、そのことで気持ちが随分と支えられたという恩みたいなものが忘れられない。そして、アートをみるのは息抜きというよりは、息継ぎになっていて、困っているときほど、穏やかだったり、きれいだったりするようなアートではなく、もっと心の奥に届くようなそんな作品が、自分を支えてくれるんだ、と思ってから見続けて20年くらいになる。考えたら、もっとも長い興味の一つなのかもしれず、それ以前にまったく興味を持てなかったにも関わらず、これだけ興味が続くとは思わず、そして30歳を過ぎてから、これだけ興味が変わったのも珍しいけど、その変化がなければ、今まで生き抜けなかったかもしれない、と思ったりもするから、そんな感謝の気持ちを持っているから、見に行くと、もう今回で終わりではないか、といった思いになりながらも、通って来たのは、東京都現代美術館のアニュアルと一緒かもしれない。

 

 今回のトリエンナーレは、木曜日が休みだから、月曜日に行くことにして、いつ行こうかと思っているうちに、会期の終了が迫って来て、ぎりぎりになったけど、まずは10月の30日に横浜美術館に行った。
 

 美術館に入る前から作品が並んでいる。アイ・ウェイウェイインスタレーション。難民になってしまって海を渡った人たちが身につけていた救命衣が柱を覆っている。そして、ボートが飾られていて、ぺしゃんこになっていると思ったら、前日までの強風で空気を抜いていたらしい。その救命衣は実際に使われたものらしく、この作家は中国の国内にいたときから、政府を批判するような作品を作り続けていたらしく、国外に亡命する形になり、ずっと難民や亡命をテーマにしているらしい。

 

 館内の最初の作品。地球上の海が、領海を含めると、どこの国のものでもない海が思った以上に少ない、といった事を初めて知るが、次の作品がMr.で、おおがかりな上に重層的になっていて、見るたびに本物のロリコンと思うが、それを作品としていて、それだけでなく、絵画作品が大きくなって、(最初はレシートの裏だったはず)同じような作品に見えながら、すごく見ていて気持ちがいいものになっていると思えた。だから、Mr.の作品を最初にすればいいのに、と思った。

 

 そのあとは、作品がいろいろとあったが、印象に残ったもののいくつかあった。

 

 妻も気に入っていた瀬尾夏美の作品。陸前高田に住んで描いている作家。違う場所でも見たが、今のその土地の状況を残す貴重な記録でもあるし、ここを盛り土をするから、地下にうまってしまう、といったことも初めて知ったし、色使いも含めて鮮やかさもあるし、などとも思った。

 あとはカテランの顔がたくさん並んであって、首つりにも見える自身と思える小さいがよく出来た人形。

 

 映像作品で、砂漠に冷蔵庫を置く作品。

 木下晋。鉛筆で描く老人の絵。90歳を超えた人で、それはすごい作品だけど、個人的には100歳を超えた人と住んでいると、もうちょっと軽みとか明るさとか、そんなものがあるのではないかと思うようにもなっていたが、それは傲慢な感想かもしれない。

 

 ただ、全体のテーマが「孤立」と「接続」というもので、そんなに広くとるなんて、とは思った。1部とその他全部みたいなテーマで、どちらにすればいいのにとは思ったが、バラエティに富んでいて豪華な感じの印象はあったし、あと2カ所は行けるから、とちょっと楽しみだった。

 

 

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