アート観客   since 1996

1996年からアートを観客として見てきました。その記録を書いていきたいと思います。

ヨコハマトリエンナーレ2017「島と星座とガラパゴス」。2017.8.4~11.5。横浜市開港記念会館地下・横浜赤レンガ倉庫1号館。

 

2017年11月4日。

 木曜日、金曜日と仕事や用事もあって、3日連続でちょっと早起きだから、体にも不安があったものの、11月4日にも出かけられた。

 

 最初は、開港記念館の地下という場所。柳幸典。ありと旗の作品はすごく好きだし、とてもよく出来ているのだけど、原爆関連の作品や憲法の作品は、すごく大事なことを訴えているのは分かるのだけど、性善説過ぎるのではないか、といったことを思ったりもしたが、場所も、作品もよく出来ているし、だけど、もっと違うやり方もあるのではないかと思ったりもする。難しいとは思うけれど、核実験をキノコ雲で表現するだけでなく、地下実験で、どれだけ地下が壊れているかを分からせてくれるようなものがあったほうが伝わるのではないか、と生意気にも思ったりもした。

 

 それから赤レンガ倉庫へ。

 その敷地内で、ふるさと〇〇というイベントをやっていて、あれこれ食べ物を売っていたが、どこにも行列が出来ていて、こんなに人がくるんだと思った。

 

 中に入る。3階まで。

 ドン・ユアン。おばあちゃんの家。家の中にあるものを大きいものは大きい絵で、小さいものは小さい絵で、全部描いてあって、それはすごいと思えたし、伝わる力が強かった。

 宇治野宗輝の作品は、アメリカからの文明、というテーマになっているのだろうけど、電化製品を使った「音楽」が思ったよりも期待をあおるような完成度で、すごいとも思ったし、楽しかった。

 その隣で、社会主義国家のときの銅像などを、地元のウエイトリフティングの選手たちが持ち上げる映像が、面白かった。クリスチャン・ヤンコフスキー。持ち上げている選手はどこかばかばかしいとも思っているはずだし、いくつかあげようとして、一つだけ成功したのだけど、うまく上がったときは、本当にうれしそうで、他の人よりも重いものを持ち上げたい気持ちと成功した喜びが大きいから、よけいに強くなったんだろうな、と思えた。

 

 その奥に10個くらいのスクリーンが暗闇に並び、いろいろな人が生活の中で同じ音楽で歌っている映像。どこか別の場所かな、と思っていたら、それは同じ家の中だと分かって来て、スクリーンの出来事がつながり始め、全裸の人は全裸だったり、そこから服を来たり、そして、その人たちが一カ所に集まり始めるのだけど、その変化によって自分も含めて観客もその法則に気がついて、本当に作り手の思惑のままに、動かされていて、最後は1つずつスクリーンを消していく姿まで映像になっている。それも、次はどのスクリーンに映るんだろう、といった期待となって視線や体も動いていた。そういうことを含めて、よく考えられた作品だと思って、感心した。ラグナル・キャルタンソン。

 

 それから、イベントの中で食べ物を探して、疲れて、結局は崎陽軒で肉まんを買って食べて、妻も機嫌がよくなって、帰った。

 

 次は、また誰か一人にキュレーションを任せるようなトリエンナーレを見たいと思った。

 

 

 

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