2022年12月6日。
久しぶりに上野駅で降りて、美術館に向かう出口は、場所が違っていて、そして、以前は車道を信号が変わるのを待って渡っていたはずだったのに、そのまま、真っ直ぐに、上野公園の敷地内へ進めるようになった。
公園の樹木や、広さを改めて意識し、歩いていて、気持ちがいい空間だと思う。
美術館の中には、岡本太郎の作品が並ぶ。
照明のせいなのか、バックの壁の黒のせいなのか、今まで見てきた岡本太郎の絵画作品の印象よりも、絵として、きちんと塗られているし、創り上げられているように見えた。
不思議だった。
完成度も高く、そして、時々、筆跡がわかるような「表現主義的」な作品はあまり馴染みがなかったけれど、それも、よかった。
絵画だけでなく、彫刻や写真など幅が広い創作をしていて、その紹介もされていて、太陽の塔を見るたびに独特の気持ちになる。
これまでも何度も見てきたはずの岡本太郎の作品だったけれど、来て良かったと思えた。パリ時代の、見たこともない作品が「発見」され、今回展示されていたし、それも含めて新鮮な気持ちになれた。
やっぱり、岡本太郎という存在自体がとても面白く、魅力的だと思った。恥ずかしながら、個人的には、岡本太郎が生きている間は、そのことがよく分かっていなかった。
小学生くらいの子どもが両親と来ていて、展示室に「赤い手」があったので、「青い手」もあったよね、と呟いたら、青い手のことを探していると思ってくれたらしく、あっちにありますよ、と親切にも教えてくれて、御礼を言って、そして、戻って位置を確認したら、そこから会場の広いフロアの中の端と端。対角線上に配置されていることに気づき、だから、それぞれの手から、向こうの手が見えることに気がついた。ありがたい発見だった。
他にも、子どもづれも少なくなく、何か楽しそうに見ていて、作品だけではなく、何より魂は伝わって、つながっていくのではないか、と思った。
かなり攻めたファッションの若い男性や女性もいて、なんだか頼もしい気持ちにもなる。
ショップに行って、いろいろなものが欲しくなって、だけど、買った後に整理ができないから、というもっともな理由で、購入するものについては、一緒に行った妻と相談をして、それでも、ポストカードやフェイスタオルや、妻は本も買った。
「壁を破る言葉」岡本太郎
帰りに新しくできたエキュートの中のカフェで、久しぶりに外でコーヒーなどを飲んだ。調子が悪くて、いつもは何杯も飲んでいたコーヒーを昨日は完全に抜いたので、それもあって美味しく、楽しかった。
帰りの電車で妻は疲れて寝てしまったので、本を読んで、やっぱり魂は伝わると思い、いろいろとあっても、やっぱりちゃんと生きようとは思えた。
充実した1日になった。