アート観客   since 1996

1996年からアートを観客として見てきました。その記録を書いていきたいと思います。

大竹伸朗展。2022.11.1~2023.2.5。東京国立近代美術館。

大竹伸朗展。2022.11.1~2023.2.5。
東京国立近代美術館
 もう20年以上は作品を見てきて、辛い時も気持ちを支えられてきたように思っているけれど、作者本人・大竹伸朗は、50年も、とにかく作品を作り続けている。
 

 作品には、違和感があって、ゴミのようなものが固まっているだけにも見えることがあって、だけど、間違いなく、何か違うものに見えるのは、どうしてだろうと思ったりもするし、わかりやすく美しいとか、癒されるというものでもないけれど、見ているうちに、何か少しずつ影響を受けて、自分も知らないところで変わっていくような気がする。

 

 そんな作品を、とにかく大量に製作し続けている。

 

 こちらは、時々、個展や展覧会があると見に行って、いろいろなことを思うけれど、そんなこととは関係なく、変わらずに、つくり続けている人なのだろうと思う。

 

 

「既にそこにあるもの」

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 この本のタイトルが、その見極めが形になっているようで、とてもかっこいいし、何かを新しく生み出すことはできなくて、だけど、既にそこにあるものを見つけて、集めて、そこに手を加える、といったことをずっと続けてきたのかもしれない。

 

 トークショーなどで、なんだか難しいことはいいんだよ、とにかくグッとくることをする、といったような言葉を何度も聞いたような気がするから、それは、アートの歴史があって、そこに新しくコンセプトを加えるような、西洋の現代美術の世界からは、やや隔絶しているのかもしれないけれど、自分がつくりたいものをつくり続けるという、アーティストの基本を、これほどまでに徹底して、しかも、何十年も継続している人は、気がついたら、おそらくは他に誰もいないのかもしれない。

 

 そんなことを思わせる存在になっている。

 

 

「全景」

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 もう17年前になってしまうのだけど、東京都現代美術館で、企画室の全フロアを使って行われた展覧会は、「全景」と名付けられて、本当に、大竹伸朗の作品の、それも子どもの頃からの制作物も含めて展示されていて、圧倒されて、二回見に行った記憶がある。

 

 その時の図録を予約したのだけど、予定よりも何度も遅れ、その度に、おわびのハガキが来たはずだけど、それも大竹伸朗の作品のようだったから、少し得をしたような気持ちにさえなったし、届いた時は、宅配便のスタッフの方から受け取った時に、本当に重く、5キロのお米くらいの重量感があった。

 

 その後も、直島に初めて行って、そこで大竹伸朗の作品にも触れられたし銭湯にも入った。実際に行っていなくても、道後温泉のアートプロジェクトは写真などで見て、行きたい気持ちになったりしていた。

 

 そして、今回、本当に久しぶりに大規模な個展が開催されるのを知った時は、うれしかった。とにかく行こうとは思っていた。

 

 

www.takeninagawa.com

 

 美術館に、「宇和島駅」の文字がある。それも大竹伸朗の作品だった。

 

 午後12時半頃に、美術館に入り、かなりいっぱいに使われているロッカーの空いている場所を探して、荷物を入れて、展覧会の会場へ向かった。

 

 最初の部屋から、立体も、絵画も、さまざまなものを張り込んであるような大竹らしい作品が並んでいる。それも、時系列ではなく、7つのテーマに沿って、作品が並んでいる。

 

 どれも、密度が高く、そして、あとは作品との相性もあるのだろうけど、時々、急に気持ちに入ってくるような作品も少なくなく、空間すべてが、大竹伸朗の作品で満たされていて、囲まれていて、そういう空間で、あちこち歩いて、気がついたら、時間が経っていた。

 

 以前、見たこともある作品もあったけれど、見たこともないものも、当然あったし、この前の大規模な個展から、17年経って、その間にも、おそらくは自然につくり続けてきたから、また増えているのだろう。

 

 会場には、小屋のような作品もあったし、大きな作品も多かったし、圧倒的だった。全部で、500くらいの数があるらしい。

 

 途中で、ふっと疲れを感じるくらいの時間だった。

 

 2階にも会場があって、それを鑑賞する前に座って少し休んでから、最後のテーマが「音」で、そういえば、音楽に関係する作品もあったのを思い出し、そして、集めれば、こんなにあるんだと思った。

 

 窓の外を見て、こうやって、こちらが作品を見ている間も、今日も、大竹伸朗は、作品を普通につくり続けているんだろう、と思った。

 

 毎日、「世界」の全部を集めようとして、作品にしている。それを続けている。

 

 大竹伸朗は、そんな人だと思った。

 

 それを50年継続しているから、すでに、大竹伸朗の作品の中にしか残っていないような「世界」も、実は多いのではないかとも感じた。

 

 

大竹伸朗展」グッズ 

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