アート観客   since 1996

1996年からアートを観客として見てきました。その記録を書いていきたいと思います。

映画「野火」。2015.8.26。ユーロスペース。

映画『野火』 オフィシャルサイト

https://nobi-movie.com/

 

 

2015年8月26日

 どこで知ったのかは、もう記憶が定かでないけれど、ロクに見たこともないのに、すごい映画監督という印象が強かった塚本晋也監督が、「野火」を映画にした、ということを知って、見に行かないと、という気持ちになったのは、そのことを知ってすぐだったのは覚えている。

 

 ユーロスペースは、独特の気配がある。違う場所にあった時から行っていて、マニアックな印象が強いが、今年はもう2回目になる。
 

 予告編が多く、早く始まんないかな、と思った時に始まる。

 

 そして、たとえば、たらい回しにされるシーンで、考えたら、コントみたいだけど、もう理不尽な無茶苦茶な場所にいる、ということだけがわかって、もう死ぬしかないんだな、という気持ちに共感してくる。映像と、音。ものすごく色が強い場所。当たり前だけど、そこに住む人にとっては、生活の場所で、戦争をして、そして、ものすごく大量に死んでいって、遺骨を集める、という言葉をよく聞いたが、このことなのがイメージできなかった。死体が大量にあって、そこから、生々しさが、遺骨という表現になると抜けてしまうが、つまり、その作業をやっていた方々は、こういうことを見ていて、その結果として取り残された遺体として、骨を集めた、ということなのだろうと思うと、それは、言葉があまり出ないし、すごくきれいな緑に、圧倒的に強い風景にいるのに、もう何をやっているかわからないさまよいをしていて、そして、確実に死に近づくが、いろいろなことにどんどん投げやりになっていく。

 

 おそらく、日本という国が戦争に巻き込まれたら、確実に、こうした理不尽が再現されるのだろう。やっぱりやめたほうがいい。戦争をしてはいけない国で、それは戦争の狂気ではなく、それもあるけど、戦い方を知らない国の未熟さが地獄をさらに深めるということなのだろうから、やっぱりやめたほうがいいし、こういう目にはあいたくないと、やっぱり思った。