アート観客   since 1996

1996年からアートを観客として見てきました。その記録を書いていきたいと思います。

「光と風のモビールスケープ」---小松宏誠+加藤美紗。2023.5.2~6.7。東京都大田区「せせらぎ館」・せせらぎ公園。

「光と風のモビールスケープ」---小松宏誠+加藤美紗。2023.5.2~6.7。
東京都大田区「せせらぎ館」・せせらぎ公園

 

2023年5月28日

 地元の大田区で「アート・プロジェクト」があって、その企画の一環として、今度は、「光と風のモビールスケープ」という作品を展示すると知った。
 それも、まだ行ったことがない「せせらぎ館」で、だった。
 
(「せせらぎ館」サイト)

 https://www.den-en-seseragi.jp/ 

 

 5月上旬から、6月上旬までの会期だったから、まだ時間はある。

 そんなことを思っていたら、あっという間に月日が過ぎて、終了の日が近づいていた。それでも、もう少し、と考えていたら、どうやら、梅雨入りが近づいて、雨が続くらしい、と知って、やっと、その前に行こう、と思えた。

 電車に乗って、駅に着く。

 そこから、すぐに「せせらぎ館」があった。

 大田区の中での代表的な高級住宅街・田園調布から比較的近いから、自分から見たら「リッチゾーン」の中にあるにふさわしい、図書館の機能があるような建物に見えなかった。

 これは、隈研吾っぽいと思ったら、本当にそうだった。

 

https://www.city.ota.tokyo.jp/shisetsu/seseragi/index.html

 

小松宏誠の作品

 せせらぎ館に入る。落ち着いた感じ。本もあるけれど、ソファーもいすもある。カフェもある。

 それぞれに人がいる。小さい子どもを連れている家族が多い。何となくリラックスした空気感もある。

 その空間の上に、小松宏誠の作品が並んでいる。

 

 モビール。だから、回るはず。そして、その素材は、「偏光フィルムと和紙」とガイドマップには書いてあり、その天井にかなり多く並んでいるのだけど、もし、もっと空気の流れがあって、この作品が回ったりすれば、もっと違う景色になっただろうし、さらに、もっと天気が良くて、太陽光が差し込んできたら、さらに美しいのではないか、という想像もできた。

 

 外は、広場のようになっていて、そこでは、小さい子ども連れがフリスビーを投げたり、ボールを蹴ったり、なんだか走り回ったりする光景が広がっていた。

 

加藤美紗の作品

 せせらぎ館の外へ出る。

 そこには、小さな山のような場所があり、林のように木々が生い茂り、それは、作られたといっても、やっぱり自然の気配はある。

 少し凹凸がある地面で、角度の浅い階段を登ると、小さな空き地に加藤美紗の作品があった。

 シンプルなジャングルジムのような構造物があって、そこに透明な物体がはさまるように、設置されている。数はすごく多い。最初は、ガラスかも、と思ったが、それが水が入ったバルーンで、それが600個くらいあることも、ガイドマップで知った。

 見ていると、その中に風景が入っていたりするので、そういう面白さもあるし、これも、もし、もっと太陽の光が強かったら、きれいなのかも、と思った。何より、こうして緑もある屋外に設置されているのは、気持ちよかった。

 

遊歩道周辺

 そこから、さらに歩く。

 とても低山だけど、おそらくは山と言っていい場所。長い階段も続いている。そこを登っていくと、さっきの小松宏誠のモビールの作品が、あちこちに設置されている。

 そして、最初に思ったよりも、さらに広い範囲に、モビールがあって、だけど、それほど強く目立つわけではないので、少し注意を向けないと、わからない。風が吹くと、回るけれど、今日は、風が弱めのせいもあって、その動きは控えめだった。

 それでも、その山を登って、また降りると、モビールは、他の場所にも、増殖するように、あちこちにあって、その数の多さが、ちょっとうれしかったし、この一つ一つは、大がかりではないのに、その光景が変わって見えた。

 天候によって、風の強さによって、かなり見え方が変わることも考えると、もっと近くに住んでいて、この場所に来るたびに、(しかも観覧量は無料でもあるし)こうした作品があるというのは、とても豊かなことだと思う。

 ガイドマップによると、この屋外の小松宏誠の作品は「風の花びら」とタイトルが付いている。

『森を吹き抜ける風を光の変化でみせる作品。モビールは、桜が風に舞う様をイメージしています。鳥の止まり木のようなモビール台は、せせらぎ公園と区内公園協力の下、樹木の定期的な剪定で出る間伐材を活用』

 今は、このように材料の調達も含めて考えて、当たり前だけど、それも含めて作品の一部になっているとは思う。

 

 そのあと、この施設の中のカフェで、ランチをとった。外の親子連れや、子どもたちが遊んで、動き回る姿も見ながら、ゆっくりと食事ができた。コーヒーも、3種類の中から選べるし、おいしくて、楽しい時間になった。

 また、この場所で、アートの展示もしてほしいけれど、それがなくても、もっと時間をかけて、ゆっくり来たい場所でもあった。

 

 

 「大田区文化振興会」

https://www.ota-bunka.or.jp/event/list/detail?47184

 

 

 

『なぜ、これがアートなの?』 アメリア・アレナス

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