日常的な物質というか、素材を使った作品が並び、そういうものを使ったと思えない感じもするけれど、それは、やっぱりアートだと思った。
『三浦かおりは、人、物、場所などが持つ記憶、残る痕跡、気配、余韻といった曖昧な正体を捉えようと、身近な素材を壊したり組み立てたりして制作するアーティストです。
「存在感のない記憶が、どのような形で、どれくらいの重さで、どう今日に作用しているのか。」という疑問を制作の基軸にしており、近年では文庫本を用いたシリーズや布を縫製し場所の記憶などを重ねた作品を発表してきました。三浦の作品を見るとき、とりわけ文庫本のシリーズでは、彼女がアーティストという活動だけではなく普段一般企業の中で社会人として過ごす時間がある、というのは留意しておきたい点です。
本展『フツフツが消えるまで』では、通勤電車など周りを見渡したときに三浦が感じたこと ― 人々が日々を過ごす中で何かしらの沸々と胸に湧いてくることを抱え、その出口を探している ― をすくいあげ、起因となっている社会的背景からその正体を探ってゆきます』(チラシより)。
Hasu no hana ギャラリー
『めくるめく現代アート』 筧菜奈子