最近、地元の東京都大田区ではアート関連のプロジェクトが多いように思う。
そして、何度か参加したせいもあって、新しいプロジェクトのお知らせのメールが来るようになった。
https://www.ota-bunka.or.jp/recruit/recruit01/aroundinotaartspot
今回は、「大田区アートスポット巡り」だった。
これまでも絵画や譜面などを信じられないレベルの精密さで刺繍をして作品を見せてくれていたのだけど、もっとシンプルなのに、現実と強く関わろうとする作品を制作していたような気がして、キャリアを積んでも、さらに変わろうとしていた青山悟氏がガイドをしてくれるというので、すごくぜいたくな企画だと思った。
ART FACTORY 城南島
おそらくは大田区のような海に面しているところにある独特の、おそらくは埋立地のような環境。空には、飛び立ったばかりの飛行機が大きく見え、本当に無理に飛んでいるように見える。音も大きい。
午前11時、ほぼ予定通りに集合ができた。
そこから、20名ほどの参加者と一緒に、大田区振興会の担当者やスタッフの方々と、今日のガイドをしてくれる青山氏が中心になって、あいさつなどをし、今日の参加費を払い、そして、ART FACTORY城南島の中に入る。
その中で、大きな体積や面積を占めているのが、三島喜美代の作品だった。
まるで土をそのまま掘ってきて、そこにある新聞紙なども含めて焼き物の作品などで、ゴミが形作られ、そのまま大きな四角い固まりが並んでいる。
新聞紙を模った立体作品が天井まで積み上がっているように配置され、迷路のようになっている。
広い場所に100年分の新聞をプリントした廃墟のレンガのようなに並んでいる。
スケールもすごいけれど、重みだけではなく、どこか軽みもあって、ガイドをしてくれていた青山悟氏は、ポップアートの影響もあるのでは、という言い方をしていて、確かに、三島は、90歳にもなっていて、それでも作品を変わらず作り続けているらしい。
それだけの長いキャリアがあったのだけど、個人的には三島の作品は、今は無くなってしまった原美術館の庭に、新聞紙が焼き物として立体しか知らなかった。そして、その時も、そこから他のバリエーションがあることを、恥ずかしながら想像できにくかった。
だが、この城南島で、そこにいるスタッフの方々の話によると、三島喜美代の評価が高くなったのは、ここ最近のことらしい。それも、こうして城南島で、常設展で作品が公開され続けていることが影響しているという。
確かに恥ずかしながら、私自身もテレビなどでこの城南島の映像を見たときと、実際に、ここにきて、作品を見て、そのすごさを初めて知ったような気がした。
アーティストの評価は上がったり下がったり、さらには死後に高く評価されたりするのだから、80歳を超えてから評価されたとしても、それによって意欲も上がって、それで今でも作品を制作し続けている可能性もある。
そんなことを考えられたのは、そして、広い視点を持てたのは、青山氏のガイドを聞いていたので、こうした企画でツアーとして来てよかったと思った。
図録本 『三島喜美代』
https://oil.bijutsutecho.com/artbooks/123/1100004815
『みんなの現代アート』 グレイソン・ペリー