「大洲大作 Logistics/Rotations」
https://www.ota-bunka.or.jp/event/sponsored/ota_art_project/draw_in_the_city/logistics_rotations
2022年の9月30日から10月10日にかけて、東京大田区蒲田駅周辺で、大洲大作の映像作品が展示された。街の中に3か所、映像が投射される。だから、夜間しか展示されなかった。
その最終日。大洲大作氏本人によるガイドツアーが行われた。
本作は、写真を軸に人の営みを光と影で捉えなおす行為を続ける美術家、大洲大作が蒲田の街に映像を仕掛ける、新制作のインスタレーションです。2019年「未完の螺旋」、2022年「Loop Line」に連なる作品であり、史実に残る引き込み線の記録を基に制作されています。
舞台は、終戦後の蒲田(大田区)であり、かつてその街を走っていた線路の道筋です。昭和初期に町工場とその働き手の倍増により地域経済を大きく発展させた蒲田は、戦時下の空襲で、約8割が焼け野原となり、終戦を迎えます。昭和21年3月、現在の蒲田駅東口周辺に、羽田飛行場拡張建設工事用資材などの輸送ルートとして省線(現・J R)蒲田駅から京浜(現・京急)蒲田駅を通る貨物線敷設工事が進められました。翌年に完成した線路の上を、多い日は1日に175両もの車両が蒲田の街を走り、厚木米軍砂利採石場などから羽田航空基地まで、資材をはじめ物資や兵員を運び続けたといいます。ふたつの蒲田駅を結んで続くその痕跡を、線路を去来したもの/ひとの記憶に辿る本作。ぜひ、ご高覧ください。
(「大田区文化振興協会」サイトより)
それは、新鮮な経験だったのだけど、そうした歴史も本当に知らなかった。そして、その日にアンケートに答え、その年末に特典映像が送られてきた。
約9分。その展示を振り返る映像でもあり、その時に行われた伊藤隆介(アーティスト)とのトークショーの際の対話の音声も流れてもいた。
(「伊藤隆介」サイト)
その中で、作品の内容についての言葉が印象に残った。
どうして撮ったかわからないような映像もある。それも含まれているのが重要な気がする。
映像によって、窓ができて、日常とは違う。そんな時間と空間の裂け目ができているのでは。
11日やって、消えていく。だけど、記憶として残るのでは。本当に消えていくわけではなくて、どっかに残る。それが大事なのではないか。
(「大洲大作」サイト)
https://www.oozu.info/index.html
『現代美術史』 山本浩貴