2003年2月1日。
ここは、竹橋の美術館とウチでは呼んでいる。
この美術館には、個人的には「プロジェクト フォー サバイバル」の時から、期待をしているところだった。だから、今回の、この人も名前はまったく知らなかったが、写真などで作品を見て、その製作方法を読んで、この内容を知ったことの方が見たいという気持ちにさせてくれたのかもしれない。
このアーティストの作品は、花粉を集めて床にしきつめるというものだった。
大掛かりな船を使った作品は、木製のボートがいくつも並んでいたり、積み上げてあったりしているが、それよりも花粉を敷き詰めてある方が圧倒的に印象が強かった。
ある部屋に花粉が敷き詰めてあると、その部屋の入り口あたりから、ロープみたいなものが張られ、それ以上、近付けないが、もし、すごく近付けたら、花粉が飛んじゃうのかも、などと、つまんないことも思っていたりもしたのだった。
畳でいえば6畳くらいの広さの作品がある。(こういう表現は、西洋の作品を紹介する時にはそぐわない感じもするが、広さのピンとくる表現は、自分としては、これがいいような気がする。)
黄色だったりする花粉は四角く、その広さに敷き詰められていて、すごく綺麗で、でも何だかぼんやりしていて、しばらく見ていると、どこを見ているか、距離感がおかしくなり、大げさでなくちょっと分からなくなったりする。でも、何だかすごくよかった。その作品に使用しているのは、松の花粉だったり、たんぽぽだったり、はしばみだったりするが、よく集めたな、という感心と、どこかあきれるような気持ちも、出てくる。作者は1人で集めたらしく、そして、もし、大量の人間を使って集めたとしたら、この作品の印象は変わるような気がする。それが本当かどうかを保証されているわけではないのに、作者がそう言うなら、信じる気持ちには、なぜかなれた。
あとは、ミルクストーンという作品が印象に残る。
薄い大理石の板の上に何かあると思ったら、牛乳だった。
それも、白い大理石だからよく見ないと分からない。大理石の表面を薄く削り取って、そこに牛乳を流し込んでいるだけなのに、何だか、気持ちが確かに引き付けられる。
そこにいた係の人に聞いたら、1回に使う牛乳は3リットル。とても、そんなに使っているようには一見、見えないのだけど。そして、丸1日たつと、その牛乳は古くなって固まり始めるらしく、毎日、代えていることも知り、それで余計に、何だか感心した。
見にいって、よかった。
(2003年の時の記録です。多少の加筆・修正しています)。