2010年1月7日。
チラシで、木村太陽の名前を見つけて、さらに「日常」という言葉に最近、興味が強くなり、今はみなとみらい線が出来て、前よりも神奈川県民ホールに行きやすくなった。だけど、ザイムという2005年のトリエンナーレの時に出来た施設(今もあるけど)の中にカフェもあって、そこに前一人で行ったけれど、今度来る時は妻と一緒に、と思っていて、一応、夜中にインターネットで調べたら、そのカフェは去年末で終わっていた。チラシが汚れたり、なくなったりすると嫌だからコピーして持っていったら、途中で、チラシがあれば100円引きというのを知ったが、現地近くではどこにもチラシがなかった。
建物の外には鉄棒がささっているようになっている車があった。それは、車を回す、というパフォーマンスを見せるという久保田弘成の作品だった。実際に回すのも見たかったが、午後4時までは残念だけど、待てなかった。
もう古くなってしまったけど、ある意味ではなつかしさがあるコンクリートの建物の中の展示室の入り口に、この展覧会のチラシを何千枚(?)か重ねて張り付け、それを削るようにして、トラか何かの立体を作った作品があって、なんだか感心したら、木村太陽の作品だった。最初の展示室は、木村太陽で、マネキンを妙にエロチックに使った作品があり、さらに段ボールで作ったトンネルみたいなものも部屋に設置されていた。そこは入ることが出来て、中へ入ったら、思ったより暗く、妙に暖かく、そして、4つんばいで進むと途中で何台かテレビがあって、そこではレコードを回す、という共通の映像だった。たこの足をレコードの上に乗っけたり、ひもをつけて回転と共に自分の首がしまっていったり、ナイフを顔につけてレコードの上のリンゴを切ったり、とばかばかしけど、なかなか思いつかず、バラエティーの罰ゲームっぽいけど誰もやらないような事をしている映像が見られた。そしてトンネルを進んでいく、という事をして、思った以上に面白く、思った以上に長い道のりで、不思議な時間の流れ方をした。
そして、あなたの夢を書いてください、という机があって、私は「垂直祭り」の夢を見た話を書いて、妻も何かを書いて、何かしらで使うというものなのかな、などと思って、ポストらしきものに入れたら、それはシュレッダーだった。すぐに細く切り刻まれる。何とも言えない気持ちになる。
その部屋を出ると、いちばん広いスペースを使っていたのが、佐藤恵子の作品で、砂を大量に設置し、そこに割れたガラスを置いて、きれいに見える作品を広いスペースを設置していたが、その下には、もっと広いスペースで、切り株と土と植物と古い乾電池などを使って、森のような、作品を作っていた。その間を歩けるし、なんだかよかった。これだけのスペースに設置する大変さも思ったが、これだけの広さをこうやって適当そうで、でもある意味での秩序や美しさを感じさせる作品にしていて、それはすごいことでは、とも思った。
さらに、久保田弘成は、洗車機を使ったデカい作品を設置していた。
歴史的に意味のある、それも戦争関連の意味のある土地の石を使い、その真ん中にガラスを組み込んだのは藤堂良門、という作家で、これは、見て、素直にきれいだと思えた。
それから、狭い入り口を通ると、会社などの更衣室にあるロッカーになっていて、そこを通っていく瞬間がいちばん面白く、感じた。(雨宮庸介という人の作品だった)。さらには、水戸芸術館でも見た泉太郎の映像作品もあった。天使と悪魔のさいころを降りつつ、善と悪(?)の行動をとってみたり、階段に階段から転げ落ちる本人の映像が映っていたり、イスの足にペンをつけて線をひいてみたり、という映像は印象に残った。
帰り際にカタログを注文した。最近、まだ出来てなくて後日郵送みたいなものが多くて、それでも頼むのは内藤礼展(鎌倉)の時のカタログがすごくよかったせいも大きいような気がする。
近くのカフェに行った。店の前のビルの工事で、遠く高いところにクレーンが動いていて、その鎖(?)がぶらさがり、ゆったりと動く様子が青い空をバックに見えるのは、すごくきれいだったが、落ちてくるかも、と思ったら、ちょっと見ていて怖くなった。カフェは居心地もよかったし、おいしかった。
(2010年の時の記録です。多少の加筆・修正をしています)。