アート観客   since 1996

1996年からアートを観客として見てきました。その記録を書いていきたいと思います。

「日常/オフレコ」。2014.1.11~1.30。KAAT神奈川芸術劇場〈中スタジオ〉

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「日常/オフレコ」。2014.1.11~1.30。

KAAT神奈川芸術劇場〈中スタジオ〉

2014年1月27日。

 初めての場所。みなとみらい線の駅から8分という距離。けっこうありそうで、でも駅を降りて、大きい道路を歩いていたらかなり立派といっていい建物があってそこが目指すところだった。スペースがやたらと広く、天井も高く、ただ月曜日のせいか、まだ完成してないせいか、人気が少なく、とても広いロビーのソファーに3人くらいの人が寝たりしていて、そんなに人が少ないところなのに警備員がいて、という場所の広めの階段を昇って行く。

 

 階段や床には、封筒やハガキなどが散らばっていて、それも作品だろうと思ってみたら、全部があてさきが、この会場のこの展覧会の名前になっている。そこを登るとピアノの発表会の受付みたいな机があって、チラシでいくらか値引きしてくれるというので、見せたら、はじっこを切ってくれた。そこから入場口が少し遠く、歩いているとよく出来たアニメの工場の模様があって、いくつも画面が並んでいて、それは最後に伊達巻きを作っている場面だと思い、そこから映画館の入り口のような密閉率の高いドアをあけると、少し暗いフロアーが広がっている。

 

 天井に30個近くのドアがある。それが床に向いていて、一つか二つずつ自動で開いて行く。次は何色だろう?みたいなことを妻と当て合ったりもして、いくつか開くのを見てから、それから小さな部屋があって、それはロッカーみたいな場所というか、演劇のための控え室にも作品が並んでいて、それは階段の封筒とドアと同じ安藤由佳子の作品で、中には日めくりカレンダーがちぎられてちらばっている。残ったカレンダーは11月くらい。

 

 そこから出て、そのあとにピアノがあって、それは全部、木造りだった。青田真也。よく出来ているのだけど、それほど心が動かないのは、自分のせいかもしれない。

 

 薄暗い部屋の中にぶらさがっている大きい平面と、その下に床があって、全部が黒い。その素材を係員に聞いたら、分かりません、と言われて、それはあとになってカタログを読んだら、鉛筆と墨で出来ている黒さというものだと知って、情報が見方に少し深みを加えるんだな、と思った。梶岡俊幸。

 

 八木良太の作品。最初に見たレコードを切断してレールのようにして、そこにレコード針をつけた電車?を走らせた作品を見て以来、なんだか興味を持たせてもらい、そのあとには氷のレコードで感心し、今回はカセットテープを巻き付けた球体とか、それを元にした映像とかもあったけれど、ストレートな音のみの作品をもっと見たいな、と勝手に思ったりもしていた。

 

 最後の方の控え室みたいな部屋にはアニメショーンの登場人物が3次元に現れ、それを精密に描いたような絵が3人分並んでいた。伊達巻きと同じ作家。佐藤雅晴。どうやら「悪の華」と同じロとスコープという手段を使っているらしいが、この作品は妻がとても感心していた。小さな画面でコーヒーに砂糖を入れるだけの繊細なシーンがループで見せている映像作品は、しばらく見ていたいと感じた。 

 

 これで終わりで、120部限定で、まだ30部あるカタログがあって、買おうかどうか迷った。こうしてあとで思い返すと、自分にとって、おもしろかったんだ、と改めて思う。

 

 

(2014年の時の記録です。多少の加筆・修正をしています)。