アート観客   since 1996

1996年からアートを観客として見てきました。その記録を書いていきたいと思います。

「カルティエ現代美術財団  コレクション展」。2006.4.22~7.2。東京都現代美術館。

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カルティエ現代美術財団  コレクション展」。2006.4.22~7.2。

東京都現代美術館

 

2006年4月26日。

 去年の10月に家族が病気になってから、時間の進み方は、またおかしくなって、そういう時には、アートを見たくて、ホントに見られなかった。

 だから、やっと見られたせいか、すごく、よかった。

 来てよかった、と思えた。

 

 ビーズで出来た庭の作品(ライザ・ルー)は最初にあって、妻はそれを見ただけで、来てよかった、と嬉しそうだったし、私は前から雑誌などで見ていたロン・ミュエクの大きい人物像を見られて、満足だった。すごくよく出来ていて、そしてベッドに横たわっているだけなのに、その部屋に入る時から、妙な存在感は伝わってきていた。こういうのを作るということだけでも、アートの存在みたいなものは価値があるのかもしれない。こんな変なことは、アートというくくりがなければ、見ることは、たぶん出来ないから。

 

 2階へ行って、30メートル(?)の机をはさんで、延々と何かを言い合っているような作品も、なんだか面白かった。教会を作ってあって、中に入ったり、それについて、係の人に聞いたりと、この場所に来てから、時間の流れ方が、独特になっていた。それが、なつかしかった。ある意味では余裕がないと味わえない時間の流れでもあり、でも、ホントにきつい時期でも、やっぱり見たい、と思い続けていて、この展覧会は、その見せ方も、ゆったりして、見やすかったし、ゲイサイ出身者の松井えり菜の「えびちり」の作品がコレクションとして見られたのも、うれしかった。

 

 後で、石原都知事が、この展覧会の作品の9割がゴミみたいなことを言ったらしい。浅田彰氏も、それを否定しつつも、違った意味でゴミと言っていたが、でも、見にいってよかった。

 

 人にとってゴミだろうと、何だろうと、私にとっては、すごくよかった。こういう時に行ってよかった、と思えた。

 

 パナマレンコの潜水艦も、そのたたずまいの少しさびれた感じがよかったし、トニー・アウスラーの安いお化け屋敷な感じも、それが、少し高級感が出るような展示にも感心したりもした。

 ジャン=ミッシェル・アルベローラの絵が、Tシャツにしたい、と思うような良さがあったし、川内倫子の写真もよかった。何度も見たくなるような空気があった。

 

(2006年の時の記録です。多少の加筆・修正をしています)。

 

www.mot-art-museum.jp