2012年4月16日。
京橋から歩き、久しぶりに来たエルメスのビルは入りにくく、自分にとっては、別世界を通り抜けて、エレベーターに乗ったら、私以外は、メガネをかけた中年女性が3人だった。
山口晃が、エルメスで個展を開くというのは、意外でもあったり、順当にも思えたりする。
「忘れじの電信柱」は、今からは、もしかしたらなくなるかもしれない電信柱を、デザイン化したものが並んでいた。考えたら、それは、元々、このギャラリーにある柱を利用した造形でもあった。
それから、「正しい、しかし間違えている」というのは、少し傾けた部屋をわざと作り、その壁にも水彩の作品を並べていた。チラシなどに使われている絵だった。
「TOKIO山水」。年代の違う6種の地図とグーグルマップ。そこに記憶や思いこみで描かれている東京23区全部を描こうとしている俯瞰図だった。線がすごくうまい、という意識は山口自身もないと思う。下手すれば、ものすごく平凡でしかない自分の、でも手描きの線で、描き続ける、その事で、ある意味の親しみも加える、というのは意識しているのかもしれない、とも思った。ただ、こうした作品は、この東京が、めちゃめちゃ巨大な都市、高い建物から見たりすると、まだ建物が続くのか、1つくらいビルをくれてもいいんじゃないのか、などと思うほど大きい都市だと改めて思う。だから、そういう東京がみられるような、森ビルの美術館に、この作品があったら、おもしろいかも、などとも思い、全部が塗られていない作品は、今も描き続けているらしいから、全部出来たら、やっぱり、その手間ひまも含めて見てみたい。
家に帰ってから、もう一度外出したとき、ブルータスを買った。アート特集。山口晃が西洋美術を解説する、というものだった。
(2012年の時の記録です。多少の加筆・修正をしています)。
『メゾンエルメス フォーラム」
https://www.hermes.com/jp/ja/story/maison-ginza/forum/120211/