アート観客   since 1996

1996年からアートを観客として見てきました。その記録を書いていきたいと思います。

「小沢剛★中山ダイスケ  クロスカウンター」。2001.2.27~4.8。川崎市岡本太郎美術館。

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小沢剛中山ダイスケ  クロスカウンター」。2001.2.27~4.8。

川崎市岡本太郎美術館

 

2001年3月25日。

 中山ダイスケ

 小沢剛

 2人揃っての展覧会。行かねばならない、と勝手に思う。

 しかも、岡本太郎美術館

 いつも、とても遠くに感じる場所。もっと、近くにあれば、といつも思う。

 常設展。最初の顔。薄暗い斜の通路に来て、あ、岡本太郎だ、と分かり切っているのに、同じことを思う。

 

 そして、企画展。

 カーテンできちんと区切られた2人の作品群。

 その布に中山ダイスケのハートが映る。それは、包丁の切れる部分だけをくっつけて出来たハート型。天井からぶらさがっている。下を通る時、少し緊張する。東京都現代美術館で、話で聞いていた初期の作品。そして見たいと思っていたフルコンタクトという焦点があいまいな格闘技の場面の絵。そして、白いリング。

 

 今回の図録。文庫サイズで800円。かっこよく、行った人には十分だと思える写真。そして帰ってから読める文章。その中を本人のラフスケッチで、そのリングのことも載っていて「とにかく、まぶしく照らす」と表現してあった。さらに、改めて、自分の作品が、見に来る人にどれだけ正確に伝わるかを、かなり考えていて、それが戦略的とひとくくりにされそうだけども、それはある意味、当然のことだと思った。中山の展覧会は、全体でシャープな印象は強く、中山自身が展覧会のことを『ショウ』という言い方をするが、それがとても似合うとも思った。

 

 小沢剛のカーテンには、豊田市立美術館で見た回転遊具が映っていた。あの時は実際の1、5倍の大きさで作られています、という説明にも感心した。それは、子供の気持ちというノスタルジーを、今リアルに蘇えらそうとしていたように思えたからだ。1・5倍くらいにすれば、子供の時に見た大きさと、おそらくは大人になって見てからの印象が、同じくらいになると思ったからだった。

 

 部屋の奥の岡本一郎、二郎、三郎の3人展。醤油絵画。

 そして、メインのタイヤをたくさん置いてある部屋。

 後で、カタログで、古タイヤはものすごく多いこと。それに川崎市はゴミ問題などでは遅れていること。それも含めて、選んだものだったと知ったが、それならば、中山ダイスケの言う通りに、そこに絞って、それをどう見せるかに集中した方が良かった、と確かに思えた。もっと、あざとすぎるくらいの圧倒的なタイヤの量。そして、その使い方を募集していて、それをただ壁にはっていたが、それだけにせず、その中で優れたと作家が評価したものは何らかの形で具体化に近付けるとか、そういう工夫があれば、ぜいたくな観客の感想だけど、もっとおもしろかったと思う。

 

 古タイヤに座って、白いズボンを黒くしてしまったのは悲しかったが、今回も岡本敏子氏に会えたのはよかった。

 

 

(2001年の時の記録です。多少の加筆・修正をしています)。

 

www.taromuseum.jp