アート観客   since 1996

1996年からアートを観客として見てきました。その記録を書いていきたいと思います。

第20回岡本太郎現代芸術賞展。2017.2.3~4.9。川崎市岡本太郎美術館。

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第20回岡本太郎現代芸術賞展。2017.2.3~4.9。川崎市岡本太郎美術館

2017年4月8日。

 

 向ヶ丘遊園の駅を降りて、歩く。20分くらいは歩く。生田緑地の中を入っていき、さらい歩いて、メタセコイアの木が何本も高く揃えるように生えている場所を通って、その途中に慰霊碑があって、初めてその文面を見たら斜面の崩落実験という、貴重かもしれないけれど、注意深くするべき実験で十何人かが犠牲になった、というのを知った。

 

 美術館は久しぶりのような気もするが、いつものように入り口からパビリオン感があって、ちょっとワクワクもする。今回の常設展示は、投票をしてもらって、人気のある順番をつけて、それを展示する、ということだったが、やはり1位は太陽の塔で、そのオブジェにタイトルがついていた。森の掟、が確か2位で、そのあたりは予想通りだったりもしたが、何枚か見た記憶のない絵もあって、そういうのを見られるのは、なんだかうれしかった。

 

 太郎賞の部屋は、広く感じた。

 岡本太郎賞は、ミサイルを擬人化した名前にして、それが落とされる街をガラスの中庭で表現していて、中には角砂糖で出来た街があって、その作ることに観客も参加できるという作品だった。音が聞こえ、光がひかり、それも含めての作品で、政治的な主張もたっぷりとあるけど、よく出来ているとも思った。山本直樹。この展覧会のために作られたであろう、会場で配られている薄いパンフレットはしっかりとした作りで、そこにある作者の紹介を改めて見ると、山本はすでに50歳を超えていて、美大を出て、卒業以来は何年か個展をしたものの、そこから8年ほどのブランクがあって、こういう賞はおそらく初めてではないかと思ったりして、それも含めて、新鮮だった。

 

 動物の糞を漆で覆って、その動物の像を作ってある井原宏蕗。

 乗って、回れる大きい作品は、楽しめたけど、でも期待ほど風景は変らなかったが、これだけの規模のものを作るのに、どれだけのお金がかかったんだろう、とか、考える。井口雄介。

 作品としての印象は薄かったけれど、結婚、出産、病気、介護、看取りを終えて、ふと気づくと十年近く作家としてのブランクがあることに気づく、という人がいて、残りの生を表現者として全うしたいという想いにかられる、という作家がいて、勝手に共感する。岡野里香。1965年生まれ。

 箱庭のような作品で、妻が気に入っていた作品は、鈴木伸吾。

 毒山凡太朗は、駒込で見たときのほうがよかった。高齢者を使った、介護が必要な人の映像は、なんだか、ちょっとがっかりもして、自分もなんとかしないと、とも思ったりもした。

 タオ・マーケットという作品は、よく見ると、ありそうでないものがたくさん並んでいて、見ていると、おもしろくて、楽しめてくる。福本歩。

 

 来て、よかった。

 

(2017年の時の記録です。多少の加筆・修正をしています)。

www.taromuseum.jp

 

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