アート観客   since 1996

1996年からアートを観客として見てきました。その記録を書いていきたいと思います。

八木良太 個展「回路」。2008.11.12~12.20。無人島プロダクション。

f:id:artaudience:20210511111801j:plain

八木良太 個展「回路」。2008.11.12~12.20。無人島プロダクション

 

 2008年12月14日。

 これから学校へ入るための、模擬試験を受けたのだけれど、なんだか妙に寒い教室で、あまりぴしっと閉まらないようなドアを開けたらすぐに外で、工事現場の仮設の建物みたいな場所で人数も少なく、前回は100人くらいはいて大教室だったのに30人くらいで、なんだか静かでうしろのメガネをかけた女性は途中からセキをし始めて、何よりも試験の出来がとても悪く、前回の模擬試験すら運がよかったのだと思い知り、学力が本当に低く、これだと受かるまで何年かかるんだろう?と暗い気持ちにもなった。

 

 介護は続いているし、何しろ、時間がなくて、なんだか疲れていて、というような状況で、というのが1年が終わろうとすると改めて分かってきて、人はこういう事を忘れるために忘年会で飲むんだ、と思いながらも、アルコールすら飲めない自分をまた思い、さらに勝手に追いつめられていく。

 

 そして、模擬試験が終わって、以前から、高円寺に来たときには、一度行きたいと思っていた無人島プロダクションというところに行ってみた。分かりにくい路地のビルの3階だった。知らなければ足を踏み入れない場所だった。3階まで行こうとしたら、2階と3階の踊り場で声をかけられた。そのギャラリーの関係者の女性らしく、2階でやっているので、とあいまいな事を言われたけど、その2階に戻ってドアを開けたら、よくあるビルの1室だった。

 

 そこにレコードを半分だか、4分の1だかに切って、つなげて、複雑な形の輪のようなものになっていて、床に置かれていて、そのレコードのミゾをそうようにして透明な小さな電車のようなものが走っている。そのレコードの音を出しながら、曲がるごとに動きながら、音を出しながら、レコードが違うから、違う曲を流しながら、走っている。ということは順調に走ったとしても、だんだん内側にいって、最後は必ず脱線するはずだった。ちゃんと走っているという事は、微妙な調整が必要なはずで単純だけど面白かったし、そういう説明をしてくれたのが面白かった。

 

 それから3階へ。そこには映像の作品。音と画面。ヘッドフォンをして、見る形だから、前の2人が終わるまで待っていた。途中で画面のスピードが大きく変わる。音が聞こえる範囲でない音を使っていて、もし、聞こえるとしたら、映像もこう変わるはずだ、みたいな狙いらしかった。自分の理解が届いていないのだと思うが、撮影していた場所にいた人には、音が聞こえていなかったことを考えると、ちょっと不思議な気持ちになった。

 

 そこにいた女性がいろいろと説明してくれるのが、なんだか新鮮だった。家に帰ってインターネットで見たら、その場所は、ミヅマアートから独立した藤城里香という人と、もう一人は音楽関係の妹沢奈美という人が立ち上げた場所だということを知った。

 

(2008年の時の記録です。多少の加筆・修正をしています)。

 

amzn.to

 

www.mujin-to.com