2007年9月20日。
ムサ美にも、渋谷にも見にいったので、作者の伊藤雅恵さんから、ダイレクトメールが来た。
「いつも展示にいらして頂いてありがとうございます。また展示するので、ぜひいらしてください。よろしくお願いいたします」。
そんな文直筆の文章まであった。
でも、ハガキの絵を見て、生意気な言い方かもしれないが、渋谷で見た時と同じような印象を受けた。個人的な見方に過ぎないが、評価を受けやすい絵。妥協というか無難というか、そんな風に見えた。だから、せっかく直筆の文章があったけれど、他に見たい展覧会もあるし、今回は遠慮させてもらおうね。と妻と話をしていた。
そうしたら、友人から誘われて一緒に行くことになった。
画廊の中には5点くらい絵があった。
ダイレクトメールと同じ絵も当然あったが、展示室の奥の大きい絵がよかった。
ここからスタートするぞ。行くぞ。みたいな気持ちが伝わってくるような気がした。ファイルを見ただけだけど、個人的にはトイレの水に星が見える。そんな初期の作品と似た印象だった。そして、当然だけど、絵としての質は上がっている。自分でも、あの絵がそんなに気にいっているとは、と再確認した。でも、それと同じ、大げさな言い方をすれば、同じスピリットを感じた。
作者本人がいて、少し話ができた。
「季節の影響は、受けるんですか?」。
「やっぱり、そうですね」。
ムサ美の時とは別人のように、あかぬけた作者が柔らかい表情で応えてくれた。
でも、そのふっきれたように見える作品が、最新作というのは、ただの観客に過ぎず、関係ないのに、嬉しい。
「楽しんでもらって、よかったです」と言ってくれる。
一緒に行った、美術への教養が深い友人とも、一番いい。という作品が一致した。好みが違う人間の意見が一致するなんて、この作者はすごいのかもしれない。
(2007年の時の作品です。多少の加筆・修正をしています)。