アート観客   since 1996

1996年からアートを観客として見てきました。その記録を書いていきたいと思います。

「天才アーティスト・会田誠と語る エロスと死」。聞き手 荒井倫太郎。2003.4.29。青山ブックセンター 本店カルチャーサロン。

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「天才アーティスト・会田誠と語る エロスと死」。聞き手 荒井倫太郎。2003.4.29。青山ブックセンター 本店カルチャーサロン。

2003年4月29日。会田誠トークショー

 トークショー会田誠が見られるので、電話で申し込んで予約して、1人ででかけた。青山のおしゃれなところにあるはずなのに、会田誠はジャージで来ていて、そして、窓にもたれかかって時間を待っていた。そこで打ち合わせみたいなものまでしていた。

 

 トークの相手は、ABC出版の社長さんだった。かなり若い。この人が、会田の「青春と変態」を出した人だ。リスクを背負って、凄いと思う。そして、今回は、会田の「自殺未遂マシーン」に感動して、それについて、というか、トークの中では、それを元に思うがまま、荒井氏が書いたらしい。だけど、最初にリスクを背負っているわけだし、それは、十分に許されて、という言い方も生意気だけど、いいことだと思った。

 

 話は、時々、荒井氏の思い込みの強すぎる話になったりもしたのだが、そして、それはふさわしい展開なのかもしれなかったが、だけど、主役はやっぱり会田誠だし、と思ったりもしたのだが、この時の会田は、知っている人間で、しかも自分より年下で、ということもあったせいか、かなり落ち着いて見えた。

 

 そして、その中で、「これは、話してなかったことなんだけど⋯」という言い方をして、さらに、声のトーンも明らかに変わって、だから、おそらくホントのことなんだと思うのだが、父方の親というか親戚筋の話になった。

 

 おばあさんが、死ぬ時に、自殺だった。ガンか何かで残り少ないと言われて、そういう死に方を選んだらしいが、母方の親戚が明るいノリと比べると、会田から見て、そういう悲惨な死に方をしているように見える父方は、その血筋が恐くて、という言い方をしていた。そして、それは本気で言っているようにも見えた。

 

 そういう真面目な血筋が恐くて、だから、そうならないようにしている、というのは確かに作品にも出ているようにも思えた。慣れない人間が無理に言う、だけど、変なおかしさまである妙なギャグみたいなものがあって、それは美術というかアートの世界だから、それほどおかしく思われないのかもしれないが、そういうえば、その固さみたいなものは、いつも作品にもあったような気がしていた。

 

 こういう感じのことも聞けるから、来てよかった。それに、活字になってしまうと、何だか違ってしまうことが、特に美術の専門誌関係では多いことも感じていた。本人にそういう気はなくても、物凄く、「カッコいいような」、そういう要素がアップしてしまうのを、少ないながら、読者と観客の経験として、分かってきたような気もするので、なるべく来よう、と物凄く秘かに決意したりする。

 

 最後に、作品集を買って、それにサインをしてもらった。

 サービスのある大きなサインだった。

 他の人間は、たぶん、私よりも圧倒的に若かった。

 

 

(2003年の時の記録です。多少の加筆・修正をしています)。

 

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