アート観客   since 1996

1996年からアートを観客として見てきました。その記録を書いていきたいと思います。

「多摩川アートラインプロジェクト。スターティングシンポジウム」。2007.3.20。大田区民プラザ・小ホール。

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多摩川アートラインプロジェクト。スターティングシンポジウム」。2007.3.20。大田区民プラザ・小ホール。

 

2007年3月20日。

 駅の小さなポスターを見て、自分自身は自信がないので、プレゼンテーションというものを見たくて、行こうと思った。

 

 病院へ行くのを休んで、夕方に行った。

 下丸子のホール。同じ日に、どこかの学校のブラスバンドのコンサートもやるみたいで、あんまり人もいないのではないか?と勝手に思いながら、階段を降りて、入り口に近くなると、ビジネスの匂いが強くしてきた。もしかしたら、座れないんじゃないか?と思えるほどの人の多さ。「お名刺を」という言葉が飛び交い、こういうムンムンした感じを、間近に感じること自体が、物凄く久しぶりで、世の中は当たり前だけど、自分の都合と関係なく、スピードを変えずに進んでいるんだと思った。

 

 パイプ椅子に座った。受け付けとか、プレスとか、変に人が多い。

 

 司会も、NHKのアナウンサーということで、どれだけ、お金が動いているんだろう?みたいな事を思う。

 午後6時になって、始まる。司会が出てきて、用意されていたような拍手が起こる。最初に、このプロジェクトの代表の人がしゃべり、そして、浅羽克己が出てくる。有名なデザイナー。テンガロンハット(?)⋯みたいなもの、ジャケット着て、すごくキめてるのは分る。何かのキャラクターみたいだ。とてもスムーズにしゃべっている。でも目が澄んでいる感じはしない。ただ、慣れている感じはした。人に聞かせるなにかをつかんだのかもしれないというか、こういう人はしゃべりが上手いんだ、と思わせるものがあった。

 

 上から、トルコ行進曲と共に、ぶら下がっていた、丸まった紙のようなものが開いて、そして、シンボルマークの発表となる。芝居がかったことを、平気でやれないと、となどと思う。

 

 三角に波があるTのマーク。なんで、黒いんだろう?と思うけど、それよりも、そのマークの外側(?)にある、黒いシミのような点々があって、これなんだろう?と思っていたら、それを「ポロック」と表現し、これこそが、浅羽というような「有名デザイナー」でないと通らないんだろうな、と思ったりもしたのだった。

 

 そして、しばらくしゃべっていたが、人が退屈しない感じを知っているように思えた。それに、このプロジェクトとは直接、関係ないのに、自分の宣伝をごく普通にしゃべっていた。

 

 それから、二人続けて、学者。

 正直、少し退屈だったし、何かの権威をつけるのに、まだ必要なんだ、みたいなことも思った。

 

 その後にアーティストが登場した。

 これを待っていた。

 最初は、間島領一氏。

「トウキョウポップ」で、ラーメンの中でラーメンを食べる人の作品を作った人で、そういう意味で勝手に恩義も感じていた。

 この人はどうやら、大田区生まれの大田区育ちで、このあたりに住んでいるそうで、勝手に好感を重ねていた。

 

 こういう人もコンピュータを使って、ちゃんと映像でプレゼンテーションをするのだった。

1、駅の人気者を作る。

駅のすみのスペースに花を植えて、そこにロボットみたいな駅長さんを置く。

おもしろいけど、何か人形みたいなものの方がよくないか?と勝手に思う。

2、多摩川命。

ホームに水槽。それも多摩川の魚を入れるという案。

この鉄道は、確かに多摩川に沿って走っているのだった。

3、生きろ多摩川基金

 サーモン型の募金箱を作る。

4、非日常。

 金色の電車を走らせる。

5、記憶

 その金色の電車の前にカメラを設置し、その映像がホームで見られるというもの。

そして、その映るような場所に、何か非日常のオブジェを置いて、という話。

 

おもしろい。と思った。

せっかくだから、線路の杭に布団を干していた頃を思い出させるような作品とか、勝手に花を植えている近所の人の手も借りたいなどと思った。

 

6、心に響くメッセージ。

 トイレットペーパーにメッセージ。

 おみくじにして、超大吉と書くとか。

 

 

 次にフロリアン・クラール という人の作品。

 駅に、ボックスみたいなものを設置して、そこにバイオリンの奏者などを入れて、そこで演奏してもらう、というもの。

 

 さらにタイムミラーという作品。

 昔と今の違いのある映像をプラスチックの泡みたいなものを駅に設置して流すというもの。

いいのだけど、アートのルールに沿っているんだろうな、みたいな事を思った。

 

 最後は吉田重信。

 光を使う人。独学らしい。

 窓ガラスなどに、カッティングシートを使って、それも太陽の光の移動で、変わっていく作品を、やっぱりコンピュータで映像で見せてもらって、好感を持てた。ただ、その後、子供との交流という言葉を強調していて、何だか気持ちが勝手に下がった。ただ、外の映像が虹に見えるという虹シートを開発中というので、勝手にまた期待度数が上がった。

 

 その後、パネルディスカッションの時間はほとんどなかった。

 キヤノンの人が、下丸子の乗降客数の話をして、それは非難でもなんでもないのに、とりあえず、申し訳ありません、みたいに、あやまった。

 最後に事務局長が、話した。ホイチョイプロダクションを思い出した。バブリーな匂いがした。

 

 

(2007年の時の記録です。多少の加筆・修正をしています)。

 

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