アート観客   since 1996

1996年からアートを観客として見てきました。その記録を書いていきたいと思います。

「わくわくSHIBUYA」。「荒川智則 個展」。2011.1.13~2.13。トーキョーワンーダサイト渋谷。

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「わくわくSHIBUYA」。「荒川智則 個展」。2011.1.13~2.13。トーキョーワンーダサイト渋谷。

 

2011年2月10日。

 

 もんだみなころ氏が、作品を出すというので、今まで一度も行ったことがなかったトーキョーワンダーサイト渋谷に出かけた。妻と一緒に電車に乗ったら、昔、近所で駄菓子屋さんを開いていた人と偶然に会って、途中まで一緒だった。駅の中のパン屋でパンを買い、今日はパンの日であと40円で、トートバッグが差し上げられますが、などと言われたが、妻はいらないと言った。

 

 それから渋谷で降りて歩いて現地に着いた。勤労者会館の一部だから、そういうアートの感じと他の場所が全然違う空気を放っていて、入り口の女性がショートパンツだったけれど、他はまじめそうな公務員っぽい人が行き来していて、建物は古く、その一部はカフェになっていて、またそこは違う空気だけど、アートに近いような感じにはなっている。ただ、何かあれば、そのスペースはなくなる、という感じも同時にあり、仮設、という言葉が頭に浮かぶような場所で、ワンダーサイト、というような名称は大げさだとも思う。

 

「わくわく渋谷」は、文化祭みたいだった。最初の頃のゲイサイみたいだった。もんだみなころ氏の作品はまじめで、好感が持てて、他の何人かの人の作品も面白いと思った。

 

 作品のとなりに、本人が写っているポラロイド写真があったけど、この写真だけを集めて並べたら、その方が、この場所の雰囲気にぴったりだと思えた。

 

 そのチラシには、この企画をしている人のプロフィールが書いてあった。「遠藤一郎 未来美術家。静岡県生まれ。車体に大きく『未来へ』と描かれ、各地で知り合った人々がそのまわりに夢を書いていく『未来へ号』で車上生活をしながら全国各地を走り、『GO FOR FUTURE』のメッセージを発信し続ける」

 この人の感じが、全体に出ているように思えた。

 

 その向かいの部屋には、カオスラウンジ「荒川智則個展」というのもやっていた。ソフトな大竹伸朗という感じ、だと思うのと同時に「もうカオスラウンジって疲れちゃったのだろうか」みたいな評論家みたいな言葉がでかかって止めた。その奥の部屋にはブラウン管のテレビがたくさん並んでいて、それがおそらくそれほど難しくない機械によって、ぶつぶつのリズムでテレビ画面が写る、というのが面白かったし、他にはここにいる人の姿(つまり私たち)が加工されているのが、やっぱり面白かったと思った。ただ、なんとなく、全体としては物足りなかったのは、観客のわがままなのかもしれなかった。

 

(2011年の時の記録です。多少の加筆・修正をしています)。

 

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