2001年4月12日。
美術手帖で券が当たった。土曜日に行く予定を木曜日にした。八重洲の地下街を通って、あちこちに矢印やポスターがはってあり、近くに地下にはミュージアムショップが臨時で開設されていた。階段を登って、道を渡るとすぐにブリジストンだった。立看板を持った人間がいる。チケットを買うのに行列ができている。1時間待ちという文字も見える。中へ入る。混んでいる。
エレベーターに乗って、2階へ。人だかり。女性が多い。大勢の係員。警備員。まず年表への人だかり。
絵もゆっくりは見られない。久々だった。ものすごい人。
ルノワールはエロチックな人だと思った。女性ばかりを描いているわけではないし、風景も飾っておきたいようなきれいさもあるし、花などもあやしげなところがある。だけど、やっぱり女性を描く時、その注ぎ込むエネルギーは明らかに違うし、少し頬のふっくらした感じの若い女性を描く時は、その集中力は明らかに最高になっているように見える。子供でも同じだった。キレイに描いてある女性と、そうでない女性の描き方の差が大きい。晩年の、肉体への強い関心を隠そうともしない。すごい。
それにしても川村美術館で初めて見たルノワールの女性の胸は柔らかそうで凄いと思った感じはここでも同じだった。情熱に、ここまで素直に従ってきて本当は技法とかよりも、とにかく自分の好きなキレイな女性を描いていたい、ということをものすごく優先事項にしてきたように見えて、すごいと思う。その後、中ザワヒデキが『西洋画人列伝』の中で、ルノアールのことを「真ん中の足で描き続けた」と書いてあるのを知って、改めて納得できた。
それにしても、これだけ露骨にエロチックな絵に、どうして中年女性が、たくさん来るのだろう、とは思った。妻は、こんなにサロンな絵だとは思わなかった、と言っていた。人がいっぱいなことと、何か自分とは無関係な感じで、何か疲れて、この後、銀座に出て、資生堂ギャラリーで、今も生きている作家達の作品を見にいった。
(2001年の時の記録です。多少の加筆・修正をしています)。