2008年6月11日。
バスに乗って、茅ヶ崎駅の向こう側へ歩いて、茅ヶ崎の美術館を目指した。長く入院していて、昨年、亡くなった母親と、この道を母と歩いたなあ、とか、最後の方はこの道が歩けないから、どうやって移動すればいいだろう?と考えたり、迷ったり、悩んだりした事を思い出した。過去ではあるけれど、それを完全に過去として振り返られるほど、違う環境にいるわけではない。この道を歩くだけで、いろいろと、思い出した。でも、何度か来て、よかった。ここはけっこう狭いから、母が歩くのにちょうどよかったのと、この喫茶店でお茶を飲んで、景色がいいわね、という話もしたことがあった。
今回の展覧会は、ポスターで見ていて、気になっていた。
美術館には久しぶりだった。
ここにはいつから来てないんだろう。もしかしたら母と来たのが何年か前で、それから来ていないのかもしれない。
最初の絵は、美大生、いかにもの絵で、それからしばらくは理屈が先に行っているようで、だけど、フレスコ画の技法になってから、急に面白くなった。有元利夫(マヤマックスが最初に影響を受けた人)と、奈良美智(犬の絵まであった)を足して2で割ったような人だな、と思ったけれど、でも、なんというか、面白かった。この面白さは、どこか悪気のなさ、みたいなところなのかもしれない。
40歳くらいの人(1968年生まれ)だけど、だんだん年を追うごとに作品はよくなっている気がした。画面の厚みや、絵の強さみたいなものが増しているように思えた。表面的には、かわいくなっている、という見方も出来るのだろうけど。犬を立体にしたものとかは、そのままキャラクターになりそうなくらいだと思った。
帰ってきて、妻にカタログを見せたら、人柄がしのばれるような、絵の、この影のなさ、みたいな感じの話になった。そして、女子ウケはする、みたいな話も。そういえば、あの美術館の平日のわりには(という言い方も失礼だけど)何人も人がいて、女性が多い事はあまりなかったと思う。これまでは、他に観客がいないこともあったので。
(2008年の時の記録です。多少の加筆・修正をしています)。