ふしぎな美術。1999.7.24~9.5。群馬県立近代美術館。
1999年7月。
今から思えば、最後の仕事になった。
高校サッカーの取材。
いろいろなことを思い出すと、悲しくなる。
母の実家が群馬県だった。時間が空いた時に、この美術館へ行った。ただの偶然だけど、バスには老人ばかりだった。それから先と同じだった。仕事をやめ、介護生活になることを、このときは分かっていない。
展覧会は、あまり憶えていない。確か、彫刻だった。『ふしぎな美術』展を見たかどうかもはっきりしない。それよりも現代美術棟が出来た時の「ヨーロッパからの7人展」が見たかったな、と現場に来て、よけいに思った。建物がよかった。
美術館から、実家に電話をした。母がダイジョウブを繰り返すたびに不吉な感じがして、何度かかけ、そのたびにダイジョウブと言っていた。
取材の帰り、なぜか、ものすごく道に迷って、2時間くらい、ただ歩いた。
あれから、2年がたとうとしている。
そして、その間の夏はもっと不吉だった。
これから、夏が来るとものすごく不吉な気持ちは続くかもしれない。
母が生きている限り。
(2001年に、1999年の記録を書きました。多少の加筆・修正をしています)。