アート観客   since 1996

1996年からアートを観客として見てきました。その記録を書いていきたいと思います。

ルート・ブリュック 蝶の軌跡。2019.4.27~6.16。東京ステーションギャラリー。

2019年6月16日。

 若い友人が結婚して、夫を紹介したいということも含めて、最終日に行くことになった。待ち合わせは東京駅丸の内北口ドーム。気がついたらギャラリーに人がたくさん並んでいて、焦ったりもしたが、友人夫妻があらわれて、あいさつもして、列に並んだら、意外と早く中に入れた。

 

 知らない作家だった。陶器を使ったラブリーな要素が前面に出ている人、という印象を電車の中吊りなどで感じていて、その上、テレビで紹介された時に、妻は見たいと言っていた。

 

 シャガールの絵から不気味さを抜いたような絵が、陶器の上で展開されていた。それは、まだブリュックが若く、20代くらいの時に、アラビアという「名門」の陶器の会社で働いて、その時にできたらしいが、その頃の映像が最後の方にあるのだけど、ブリュックが絵付けをしている後ろで、体の大きいおばさまが後方で見張るようにいて、タバコをすっている姿があって、それは「働かされている」ように見えた。

 

 作品もラブリーだったのだけど、プロフィールなどには、美大に進みたいと意志を表明したときに、兄たちに反対され、デザインの方に進んだり、途中からミニマルな作風になるが、それも、アメリカの抽象表現主義が中心になっている時代だから、そこにあわせるように、と言われているのだろうか、とか、そのミニマルな時代なはずなのに、自身の時代を遡ったような具象は表現の作品があって、そのキャプションには、クライエントの要望で、そのように戻った、といった説明があって、この人がどこまで自分の意志を通して作品を作っていたのだろうか、といったことが気になるようなプロフィールだった。

 

 初めて知った作家で、そして、きれいな作りだったり、変化だったりは興味深かった。そして、こんなに人がたくさんいるギャラリーは、ずいぶんと久しぶりだった。

 

 

(2019年の時の記録です。多少の加筆・修正をしています)。

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