2014年6月22日。
どこかの本で見て、ずっと気になっていて、一度は見たいと思っていた。その作品のことを薄く覚えている程度で、それを記憶している事自体をずっと忘れていた。
チラシを見て、急に思い出したのは、ずっと見たいと思っていた事だった。
フォートリエという名前は覚えていなかったが、作品名の「人質」はかろうじて思い出せたような気がした。戦争の頃の作品で、背景には人が死んだ、というあまりにも重い事実がある、ということを聞いていたせいか、そのただ固まりを作ったような作品が見たかった。
研修会の帰り、ちょうど東京駅を通るので、見に行った。
黒い絵、というシリーズあたりから、独特の切り詰めた感じは出ていたが、「人質」の絵は圧倒的だった。何枚も描いていて、それが紙を貼付けて、厚みというか、立体みたいになっているというのも初めて知ったし、この作品のチラシになっているが、すごくよくて、しばらく立ち止まっていた。なんだか異様なものはあってそれがでもどこか重いだけでなく、心地よいものがあった。
時代背景を無視しては語れないもので、そして、この「人質」のシリーズは戦後すぐに発表されたが、それは2週間くらいの個展であって、それでも、注目はあびたらしいと、会場内で短いドキュメンタリーで知った。しかも、その後も人質と同じような技法で、日用品などを描き、その感じは思った以上にラブリーさがあって、1枚も売れない、という結果を招いたらしいが、でも、今の日本だと人気が出そうな気配もあった。
人質シリーズも大原美術館にあったり、日本で人気があるのかも、などとも思ったが、それは日本にも敗戦国の重苦しさがあったから、よけいに受け入れられたのかもしれない、などとも思った。
(2014年の時の記録です。多少の加筆・修正をしています)。