2018年10月25日。
歌舞伎町の取り壊すビルを使って、上から下までを穴というか、ほぼぶちぬく、といったことをして、展覧会をしたのが二年前で、それを見に行って、本当に歌舞伎町の真ん中だったし、歌舞伎町振興会、という団体が入っているビルだったせいもあって、この町を、もっと、娯楽の町にする、といった計画があって、それとは違った方向への発展をしていて、その結果、ものすごく個性が強いというか、ある意味恐い町になってしまって、といったことも思わされて、そして風俗街になって、といったことが、そのビル自体を使って、表現されていた。
それもビルが取り壊される時に行っているのだから、歴史とか時間とか、思いが果たせないとか、いろいろなことも感じてよかったから、今回も、歌舞伎町で取り壊し前のビルを使って、といった要素と、あとは、パフォーマンスアートに取り組んでいる関優花という作家の個展が、興味深かったので、その作家がまた参加するというので、見に行きたいと思った。
歌舞伎町はあまりいっていないのは、恐いからだった。映画館を過ぎた場所には、行ったことがなく、ラブホテルとホストクラブばかりが目立った。夜に来るのはビビりそうだから、午後に出かける。
迷いそうになって、入り口を見つけて、そこに受け付けがあって、立っている男性はやたらと愛想があって、あとになってホストの人かも、と思ったが、入場料は1000円で、あ、無料じゃなかったのか、と思ったりもして、そのときに、サプリを渡されて、入ってから水をもらって、飲んで、という作業のあとに2階に上がる。
目立ったのは、松田修の最初はほぼ裸から、人からモノをもらってそこにいる、といったようなことを行っているが、サクの向こうで、座っていて、こちらに対してもほぼ無関心な感じもあったし、もう服もバッチリ着ていて、何かを売っていて、ああもう何かを手助けも必要ないんだな、と思ったりもしていた。
そして、展示物も、にんげんレストランということのテーマとして、すごくつながりもあるわけでもなく、3階に上がると、チンポムの作品として、震災の際だろうと思うのだけど、その時の遺族の涙を固めたものが作品になっていて、それは、印象に残った。
一通り見終わって、1階に戻って、おつかれさまでした、みたいなことをいわれて、食事メニューを見ると、死刑囚の最後の食事が、その死刑囚の写真と共に並んでいて、最初のメニューは、オリーブの実で、それも最後に望んだものだったのだけど、死刑執行後にポケットから見つかった、という話も載っている。それから、他にももっと食べ物らしいメニューもあったりするが、中には知的障害も疑われ、責任能力のことで議論があった死刑囚の食べたものもあって、来る前は、何か食べたいとも思っていて、そのメニュー自体は、関係ないはずなのに、なんだか食べる気持ちがなくなっていった。気分が重くなった。
それから、周囲を見て、飲み物くらいは飲んでおこうと思い、ホットコーヒーを頼んだら、アイスしかないと言われ、それにした。飲んでいたら、入った時は、気がつかなかった関優花がパフォーマンスをやっていた。おにぎり解体。おにぎりをピンセットで一粒ずつとって、それをきれいに並べていって、全部を米粒に戻す、という作業。すごく暗い顔をして行っているので、それを見ていて、しばらくたったら、そばでマックで作業している人が話しかけると、笑顔になり、明るくなって、なんだかホッとする。
それでも、この前のパフォーマンスも100キロのチョコレートをなめとかして、自分と同じ体重にする、というパフォーマンスで、これも再演になるのだから、新鮮さみたいなものもないのではないか、といった気持ちにもなったが、それでも見られて何か、それだけはよかったと思えた。ポストカード二枚で1000円。売る方も、高いんですよね、というものを買って、出て来た。
観客としてのぜいたくなのだろうけど、ビルを切っても、この前見た、という気持ちになる。人間、というテーマは、家に帰って、義母を介護している時の方が、やっぱり身につまされる。知っているアーティストが、つまらない、とツイッターで書いているのを知り、それだけハッキリと言えるのはすごいとも思った。
(2018年の時の記録です。多少の加筆・修正をしています)。