アート観客   since 1996

1996年からアートを観客として見てきました。その記録を書いていきたいと思います。

平井有太 個展「ビオクラシー」。2016.11.22~12.24。Garter@キタコレビル。

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平井有太 個展「ビオクラシー」。2016.11.22~12.24。Garter@キタコレビル。

 

2016年12月23日。

 

 会田誠ツイッターで知った。チンポムの所有しているギャラリー。興味はあったが、高円寺という場所で行く機会もなく、以前は予備校の模擬試験を受けるたびに、無人島ギャラリーがあったので、そこに行くことがあったものの、それ以降は遠く感じる街で、でも、実は新宿から意外と近いのに、毎回忘れる。

 

 そこでやる個展で、今回の平井という名前も初めて聞いたし、ビオクラシーという名称も知らなかったけれど、会田誠が、“すでに理解できないアーティストが出て来た”といったような言葉をツイッターで書いていたので、かえって興味が持てて、今日、3カ所めで、行くことにした。最初が、バラックアウト展。次が、大谷工作室の個展。最後に、また街中のギャラリーに行く。高円寺で降りて、地図を見て、歩く。ああ、この辺か、と思って歩いて、回って、あちこちへ方向を変えて、分からない。最初の歩く道の選択の間違いに気づき、そこへ歩いて、また見つからない。コンビニで水を買って、尋ねたけど、分からない。何度か通り過ぎていた場所に行くと、そこにあった。

 

 金髪の鼻ピアスの女性がカジュアルな笑顔で迎えてくれて、名前を書いてください、と強めに言われ、ノートの一番下のすき間に名前だけを書く。そして、中では野菜を売っていたり、言葉がディスプレイされていたり、電気を作っている、という様子が展示されていたり、といった成果、というか、運動というか、行為を示している作品が多く、ピオクラシーという本を出していて、それを読んでいないと分からないのかもしれない。

 

 会場が狭そうで、それでも、ギャラリーとして機能していいて、さらには地下もあるらしかった。小さなバーを抜けて、そこに荷物を置いていったほうが?という声をかけてくれたのが、どうやら作家本人だったようなのだけど、それはそうとして地下にも部屋があり、そこでは大麻の話をしていて、健康のために販売している、という合法な話をビデオで流しているのだけど、そこから上がって、カバンを持とうとしている時に、作家本人から、本人ですけど、何か質問ありますか?と聞かれたので、せっかくだから“これからは、どうしていこうとか?”といったことを聞いたのは選挙に出たりとか、社会活動家っぽいことをしているし、と思ったせいだけど、その答えは「特に何かを決めて、ということはなく、何かをするのを決めるのは、それぞれのことだと思うんですね。ただ、その選択肢を示したい、というような気持ちはあります」といった話をしてくれて、目つきや話し方が宗教家っぽい感じのゆっくりさで、それでいて反論などを受け付けない感じもあって、あとは、“アーティストですか”とか、いろいろ聞いたが、その答えはゆっくりとしたもので、率直さや自然さからは、少し遠く感じたりもしたが、こういう社会的な活動をアートとしてやっていくのは、面白いと思った。

 

 インタビューも含めてアートの活動というのは、その視点によって、いろいろな人たちの言葉が違う意味を持って、伝わる距離が遠くなったり、届く範囲が広くなったりするかも、と思い、とにかく一度は、この作家の本を読んでみようと思った。

 3カ所を回って、充実した一日になった。ありがたい気持ちにもなった。自分も生き残るために、そして、出来たら楽しく生きていくために、やりたいことをやっていこう、という気持ちにもなれた。

 

 

(2016年の時の記録です。多少の加筆・修正をしています)。

www.plart-story.jp