アート観客   since 1996

1996年からアートを観客として見てきました。その記録を書いていきたいと思います。

イケムラレイコ個展「あの世のはてに」。2017.9.9~10.7。シュウゴアーツ。

イケムラレイコ個展「あの世のはてに」。2017.9.9~10.7。シュウゴアーツ。

2017年10月5日。

 六本木のギャラリーが集まったビル。去年出来たはずだったけど、行ったことがなく、初めて出かけたら、ギャラリーがあって、あれこれ複雑な作りになっているビルの隣の奥だった。人を寄せ付けないような「圧」が高い建物というか、ギャラリーが特に入りづらいが、とてもきれいな空間で、それでも作品がそこにあって、とても気持ちがよくて、緊張感があった。

 

 絵は、抽象的にも見える具象画、というような言い方も出来るのだろうけど、たぶん、そんなことは何も言っていないのと同じになるのだろう。初めてちゃんと見たのが豊田市美術館で、その時はうつぶせになって、そこから、立ち上がろうとしているような前向きさとは違うのだけど、そこにそうしているしかないような、思春期のどこにも行けないような感じが、すごくそこに定着しているような作品で、ありそうでどこにもない作品に見えた。

 

 それから何回かの個展を見て、時として、妻は、最初に見た時は、あれだけすごくいいと言っていたのが、どうやら微妙に違うと思ってきたらしくて、今回も誘うのに、少しちゅうちょしたが、見て、特にごろりと転がるような頭の部分の立体がすごくよかった、という感想で、全体としても、見に来てよかった、という感想だった。

 

 一貫していそうで、微妙に変化し続けていて、その言葉を拒むような気配もあって、つまり何かを言うにはちょっと遠慮してびびってしまうような感じがあったが、ストイックだったり緊張感だったりがあって、その上で気持ちもよかったりする。

 

 リーフレットで、学生運動から離れ、日本からも離れ、スペインで美術と出会って1979年にスイスに渡り本格的に作家活動を始め、90年代には拠点をベルリンに移した、という経歴を初めて知った。

 

 

 

 

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