アート観客   since 1996

1996年からアートを観客として見てきました。その記録を書いていきたいと思います。

「リボーンアート・フェスティバル 東京展」。2017.10.20~12.10。ワタリウム美術館。

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「リボーンアート・フェスティバル 東京展」。2017.10.20~12.10。
ワタリウム美術館

2017年12月7日。

 夏あたりにツイッターを見ていて、このアートフェスティバルが石巻で開催されていて、そこは大震災の時に確か大きな被害にあった土地だった。さらには、このフェスティバルが、最初は非難され、そのあとに、いや行って見たら思ったよりよかった、というような意見が出ていて、もし、時間やお金の自由が効くようになったら行って見たいと思うようなフェスティバルだったけど、その中でもパルコキノシタの作品で、震災で亡くなったり、行方不明だったりする人たちの数だけ、木彫りの人形を作った、という話を知って、それは見たいと思っていたのだけど、季節が変わる頃には忘れていて、こういう風に行きたい場所にいけないのは、今の状況では続くだろうし、ただ介護が終わった時は、今度はお金がなくていけないのだろうな、とおもったりすると悲しくなるが、さらには、年齢のせいで、あまり遠くへ行けなくなるかもしれない、と思ったりすると、悲しいよりも無念な気持ちにもなって、なんだか嫌にもなる。

 

 ただ、ワタリウムで、その時のフェスティバルを、もちろん規模は大幅に縮小するのは明らかだとしても、見られるのはラッキーだと思って、見たいと素直に思えた。さらには、最近、パンケーキの本を借りて、渋谷のパンケーキ屋さんに行って、こんな風においしいから、パンケーキはブームではなくて、ずっと続くのではないか、と思ったので、その本の情報を信じることにして、ただその本が何年も前なので、場合によってはもうなくなってしまった店もあったりして、だけど、その中でワタリウムのそばに喫茶店があって、そこにホットケーキがおいしい、といったことを知り、そこにも行きたいと思った。

 

 ワタリウムは、以前はパスポート制度で、何度も入れたのだけど、それは廃止になっていて、替わりというわけではないのだろうけど、2人で行くとペア割引になっていて、それは有り難いと思った。

 

 2階の展示。画面に島袋道浩の作品。「起こす」。明石ダコを生きたまま買って、それを運んで、明石の海に戻す、とか、神戸の震災の時に、壊れかけてしまった家の上に、人間性回復のチャンス、というような看板をかけたりして、いわゆる「お花畑」みたいなことを言われそうだけど、だけど、こういうことをする人がいることで、何かがわずかに影響されて、変わる人もいるのかもしれない、と思えるようになって、この人はどこか鈍いところがあるのだろうけど、今回も、浜辺に倒れている樹木などを起こして、立てる、といった行為をしていて、それを画像で見せていた。愚かそうかもしれないけど、でも、それはやったほうがいいような気持ちがした。

 

 金氏徹平。いろいろな漂流物や、被災地にあったものを集めて、そこに石灰をかけて、ゆるやかに一体化するような作品。そういえば、同じように作品を作っていて、個展も見た事があって、こういう時にも意味があるのかも、とは思った。

 

 青木陵子伊藤存。浜辺でのインスタレーション。久しぶりに見た伊藤の作品を含めて、青木の作品が並べられてあって、この土地の必然性はないのかもしれないが、作品としてラブリーな要素があって、妻もかなり気に入っているようだった。

 

 さわひらきの作品は、現地で見たいと思ったり、4階に現地での映像があって、パルコキノシタの木彫りが「います」というタイトルだったのも知り、それから「目」が企画したのが、ほぼ全面ガラス張りのバスみたいなものを作って、移動していたり、あれこれ見たい作品がけっこうあった。もし、次があるとしたら、いろいろな意味で行けるようになっていたい、と思ったりもした。

 

 ショップに伊藤存のTシャツがあって、よかったけど、色があまりにも渋く、これを着こなせないと思って断念して、残念だった。もっといいのは、直接刺しゅうしてあって、5万円だったし、藤城嘘の作品も4万円くらいで、買えるようになりたいな、と思った。

 

 ゆっくりと見たけど、時間にしたら、一時間半くらいで、そこから、近くの喫茶店に行った。大学のそばの喫茶店と同じ香りがした。中身も似ていた。ホットケーキって、こんなにおいしいんだ、とサクっとしていて、中身はフワフワで、コーヒーも似た味がして、時代の味なんだと思ったが、多少高めとはいえ、おいしいから、人は来ると思えた。

 

(2017年の時の記録です。多少の加筆・修正をしています)。

 

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