アート観客   since 1996

1996年からアートを観客として見てきました。その記録を書いていきたいと思います。

小泉明郎 展「空気」。2016.4.29~5.15。無人島プロダクション。

 

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2016年5月8日。

 椹木野衣会田誠ツイッターで、この展示を知った。このギャラリーは、以前、確か高円寺にあって、まだ先が分らなくて、模擬試験を受けて、終ってから展示を見に行ったが、狭い場所で作品を見て、その時に話を少ししたら購買客かと思われて奥から桐の箱を持って来てくれて、こちらはただ見るだけの観客で申し訳ないと思ったことがあったが、そこから時間がたち、現代美術館の近くでギャラリーを開いていて、1度くらいは行ったが、それほど印象に残っていなかったが、今回は、去年も「検閲」や「自主規制」で話題になった東京都現代美術館が、「規制」をテーマにした展示の中で、再び、作品を展示しないというような話し合いがなされて、という話題を知り、その展示しなかった作品を、ここで見せてくれるというので、現代美術館に行くので、一緒に見ようと思った。
 

 清澄白河駅から、地図を見て、歩いた。何度か来ているが、どうも方向の感じが分らない。急に目的地があった。引き戸を開ける。端正な絵が並んでいる。最初の部屋の絵。あ、見た事ある。とすぐに思えた。皇族の家族が並んで座ってテレビなどに出てくる時に必ず、この部屋で受け答えをしていた。皇族の人物像は影のように実体がなく描かれているが、関心があまりないと思っていた私でも、あああそこだとすぐに分った。

 

 他の作品も、園遊会とか、被災地への訪問とか、周りの人たちの反応が描かれていて、それは、天皇をテーマとした作品としてはスマートで、これが展示されないということであれば、表現も何もないのではないか、というような事を思った。自分が普段、考えないようにしてるけど、ずっと意識にあるのが日本の中の天皇制ということかもしれない、といった事も思った。

 

 アンケートがあったので、書いた。そのあとも作品をもう一度見ていたら、この場所のオーナーと思われる女性から声をかけられた。ここに至るまでの交渉の経緯も書かれた文書が置いてあり、こうして表に出してもらえること自体にすごく意味があると思います、といった話をして、そのあとに地下鉄の路線図があって、何かで見たのですが海外の人向けのものには、真ん中に大きい丸の皇居が描かれているそうで、わたしたちは普段は意識しないという意味では、そんな事まで思い出させてくれるような作品でした。そんな話もできた。

 

 考えたら、アートに興味を持ってから20年が過ぎて、若い時から見てきていないと、それほどの自信もないけれど、それは「分っている」人が大量にいる世界だから、という事もあるし、それでも、自分の中で蓄積になっているんだな、とも思えたし、素直に見ていて楽しいし、いろいろな事を考えさせてくれるし、感じさせてくれるし、本気が見られるのは、その切実さも含めて、来てよかったと思った。 

 

 高円寺にあった頃から、もう7年くらいたっていて、その間に、自分にも変化があって、勝手に感慨深い部分もある。

 

 

 

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