アート観客   since 1996

1996年からアートを観客として見てきました。その記録を書いていきたいと思います。

「ニッポン・サポート・センター」青年座第75回公演 作・演出 平田オリザ。2016.6.23~7.11。吉祥寺シアター。

「ニッポン・サポート・センター」青年座第75回公演 
作・演出 平田オリザ。2016.6.23~7.11。吉祥寺シアター

2016年6月25日。

 

 これで2度目の平田オリザ演出の演劇。吉祥寺シアターに前回来て、迷って、遠いところに行ってしまったが、今回は迷わず行けそうだったけど、その前に食事をして、出来たらコーヒーを飲んだり、行ってみたいお店があったりと、少し欲張って雑誌のコピーとかも持って駅に降りた。最初は、カレーが食べたくて、リトルスパイスという店を探して、歩いた。駅から少し歩く。広い道から少し曲がると、いろいろな店がある路地になった。春木屋という、確か有名なラーメン屋の上に目的の店があった。狭くて、席が少なくて、いつも満員、という雑誌のコメントがあったので、無理かと思って、次に行く候補まで考えていたのだが、空席があった。あっさり座れた。メニューを見て、ブラックカレーを頼んだ。観光客っぽい女性が2人組が2グループほど。それとカップル。元2枚目の男性と、女性のカップル。カレーが来て、それから食べて、スパイスがきいている、というようなことは分って、カレー食べてる、というような気がしていて、おいしかった。女性のグループは少しずつ帰っていって、カップルだけが残っていて、ずっと男性がしゃべっているのだけど、その内容が微妙に変で、聞くほど大丈夫か、というような内容で、なんだか不安になったが、支払いをして、店を出た。もっと時間的に余裕があるはずだったのに、あとはシアターにまっすぐに向かうしかないような時間になっていた。
 
 入り口付近に人がたまっている。なんだか不安になって、インターネットで予約したものですが、と聞くと、その人だまりの奥に受付があって、そこで名前を言ってお金を払ってチケットをもらった。番号が108。トイレに行って、Tシャツを着替えた。まだ番号を呼ばれない。また少し時間がたって、100番までが呼ばれて、人が動かないので、すぐに110番まで呼ばれた。
 

 階段を上がって、そして、チケットもぎりの人たちも、男女ともキレイで、確かに演劇関係者で役者志望なのだろうな、と思って、そして、なるべく後ろの席に座ったが、それは右側のすみの方で、前に来た時も、同じような席に座ったと思い出した。

 

 リーフレットに上演にあたって、という文章がある。

 

 2008年に高齢化問題を書いた前後から、次は貧困や格差を書きたいと考えてきたが、2つの誤算があった。一つは格差が急激に広がり、貧困が当たり前に語られ出した、ということ。さらには、子どもの貧困や虐待をテーマにした作品が出だしたが、親が教育相談所に勤務して姉は今も児童相談所で働いている身としては、違和感があって、貧困も格差もそこから少し距離をおいて、そこに生きる人々の姿をきちんと見つめてみようと思った、という事が書いてあって、それは、何となく納得がいくようにも思えた。

 

 演劇は、相談の持つ何となくのまだるっこしさが、相談室のインターホンなどでうまく伝わってくる気がしたし、相談って何をするところなんだろう、といったことも思えたし、時としてぼそぼそとしゃべっているだけなのに、そして、実は演劇は開始時間より前にさりげなく始まっていたけれど、目を離せなかった。何がおもしろかったのだろう。劇は、何かが解決もしないまま終った。でも、おもしろかった。最後まであきなかった。

 

 アフタートークの中で、平田オリザが、こんな話をしていた。

 

 芸術は、問題解決をするものではない。そんな単純なことが役割なのではない。どちらかといえば、問題発見能力に関係している。何が問題なのか、その解像度をあげるようなものであって、だから、もやもやして帰るというか、大変だ、と思って帰る、というようなものだと思います、といった話をしていて、この人は、すごく頭がいいんだ、と感心もした。

 

 

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