アート観客   since 1996

1996年からアートを観客として見てきました。その記録を書いていきたいと思います。

映画「マッドマックス 怒りのデス・ロード」。2015.7.2。川崎トーホー。(ダイスビル内)

「マッドマックス 怒りのデス・ロード」予告編

https://www.youtube.com/watch?v=YXhJGkZzS-4

 

 

2015年7月2日。

 仕事の帰りに寄った。

 

 

 ダイスビルの映画館は2度目で、席のとりかたも覚えて、すみっこの2つだけ並んでいる席をとって、本を読みながら、待った。

 

 映画館の前の3分の1くらいの席に白髪の男性が7〜8人が一緒に来ていて、座ろうとしていた。たぶん、マッドマックスが最初にやっていた頃に見たんだろう、そして、定年を過ぎて、時間が出来た頃に、新作が出来て、ということを聞いて、みんなで見にきたんだろう、と思うと、ちょっとうれしく温かい気持ちになった。

 

 監督は、その最初のマッドマックスと、同じ人だった。

 

 映画は、独特のスピード感がある。
 生々しい動き。重みが画面から伝わってくる。動きの緩急、どうして、こういうことが出来るんだろう、と思っているうちに、話はどんどんと進み、ずっとクルマで走って、すごいスピードの中で時間が進んでいくが、造形もなんだかすごみがあるのに突飛で、おもしろいのに重みがあるのは、ありそうな感じだからで、こういうリアリティーの実現の仕方みたいなものがあるって、今の時代に、というほど、いろいろなものに詳しいわけではないけれど、すごい。
 
 しかも、価値観もアップデートされている。
 
 この時代の独裁者に、子どもを生むことだけを目的として生かされている女性達が、戦わないと生き残れないという中で、強くなっていく。ただ、時間が進むと、数限りない人達が亡くなっていくけれど、なんだかリアルな場面の連続で、そして、ただ遠くへ行って、たどり着いたはずの目的の「理想の」土地は、もうすでにどこにもなくなっていて、そこにはもう年をとった女性しかいないが、戦い続けている女性達で、そこから元の場所に戻っていく中で、また犠牲者が多くでて、それでも、また戻っていく。
 
 それだけの話に、だけど、最後の方で、まだテンションが上がるのかと思っていたら、まだ上がるのだから、とんでもない話で、そして、達成もあって、終った。前の席の方の白髪の方々が、「疲れる映画だった」と言いながら、出て行った。前作から、これだけの時間がたって、凄みを保ちながら、今の時代にも適応しているような映画がつくられるなんて、すごいと思った。
 

 見てよかった。期待が高まっていて、でも、それを忘れるくらい、画面の中にいた。巻き込まれながら、時間が過ぎた。情熱も知恵も才能も、とんでもなくないと、こんな世界は作り上げられない、とは思った。見終わって、数時間がたったけど、あの音と、あのスピード感が、まだ体の中に少し残っている。

 

 

 

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