アート観客   since 1996

1996年からアートを観客として見てきました。その記録を書いていきたいと思います。

映画「シェイム」。2012.3.23。川崎チネチッタ。

 

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2012年3月28日。

 見ようと思ったのは、かなり前の美術手帖という雑誌にスティーブ・マックイーンというアーティストが紹介されていて、映像作品を撮っていて、見たかった、という気持ちにさせたのだが、確かに、その人の作品を見たはずだった。

 

 「無表情」というタイトルで、(このタイトル自体は全く覚えていなかったが)大きな丸太小屋の壁が倒れて来て、そこに立っている人間(どうやらアーティスト自身だったと思う)に向かって、壁で押しつぶされておかしくない状況なのだが、その壁に窓があり、その窓にその人物が通って、無事、という結果になる。ただ、それは、CGとかでない限り、微妙な誤差を生む可能性はゼロではなく、いくら完璧に計算したといっても、その場に立ったら、ある意味での疑問などは浮かんでくるはずで、それを見事にやり、そして、無表情であったのは、(この無表情さも記憶になく、その動きや、その場面の驚きは確かに、言われると、思い出す)やっぱり感心というか、驚きがあったもので、何度も見たくなるような映像だった。そして、もしかしたら、誰かが思いつくのかもしれないが、それを実行するのは、やっぱり勇気というものがいる。そして、そこに立っていたのがアーティスト自身だったのは、他にやれないだろうし、責任もあるし、という背景の事情まで考えたりするものでもあった。

 

 そのスティーブ・マックイーンが、知らないうちに映画監督になっていた。映像のアーティストだったから、自然といえば、自然だと思う。川崎へ映画のために出かける。川崎駅で降りて、地下街を歩いて、表へ出て、映画館の窓口へ行き、学生料金で入って、座席を指定して、入ってから、前過ぎたと軽く後悔もした。
 
 
(MOVIE WALKER  PRESS  「映画 SHAME  シェイム」)

セックス依存症の男と自殺癖のある妹。2人の姿を通して、人間の底知れぬ孤独を扇情的にえぐり出す。新進気鋭の映像作家スティーヴ・マックイーン監督が放つ衝撃作。ヴェネチア国際映画祭男優賞を受賞した主演のマイケル・ファスベンダーと、赤裸々なシーンに挑んだキャリー・マリガンの鬼気迫る演技に鳥肌が立つ。

 

 女性の一人での客もけっこういて、若い女性の4人組みたいな客もいた。話題の映画のようだった。思ったよりも人がいた。

 

 始まってすぐに、男性性器のアップみたいな映像。ほぼぼかしなしで、かなり大きいと思ってしまう。

 

 セックス依存症の、苦しみというのが、やっぱり分からない。この映画のように成功者で容姿もよくて、という人ならば、依存症といっても、相手がいる。お金で買う、といっても、ある程度以上の経済力がなければ無理だ。
 
 歌はすごくよくて、あとはひたすらセックスシーンやオナニーシーンばかりだったが、考えたら、オナニーするのは、一人で個室で、しかも、何かを見たりしているわけではない、というのが、とにかく切羽詰まっているようだと思った。
 
 相手との気持ちの交換がありそうなシーンで、その時は、あれだけ絶倫だった主人公が急に勃起しない、という事を考えると、本当に孤独なのかもしれず、そして、その妹も自殺未遂をするのだから、孤独なのだろうけど、その理由を明かさないのが、素晴らしい、と言うような評価があるらしいと、インターネットでも知った。
 

 画面はひたすらきれいだった。

 キタノブルーという言い方があるらしいが、これは、マックイーンホワイトなどと言われそうな感じの白さがあって、それでいて、生々しくて、主人公の陽気な女たらし、というような人が、バーで口説く時に、「繊細な注意力で成功した」という自慢をしたり、というようなところとか、画面の作り方は、とても厳密で美しかったと思う。

 

 でも、終った時に、何人かの若い女性のグループは、なんだか分からなかった、という言い方をしていたし、隣の女性は終盤、あくびが多くなっていたし、スノッブ、というような言い方が、確かに当てはまる映画なのかもしれないとも思った。

 

 

 

 

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