アート観客   since 1996

1996年からアートを観客として見てきました。その記録を書いていきたいと思います。

「女がひとり」。演劇カンパニー ア・ラ・プラス。2012.6.26。アトリエセンティオ。

「女がひとり」。演劇カンパニー ア・ラ・プラス。2012.6.26。
アトリエセンティオ。

 

2012年6月26日。

 最寄りの駅で軽い食事をあわててして、そこから少し小走りで現地を目指す。住宅街のどこにでもあるような道の角に看板を持った人が立っていてくれたから、分かった。
 
 路地を曲がって、もう一度曲がって、その一番奥。グーグルの地図は、一つ道が違っていた。人がいなかったら、ほぼ分からなかった。受付には、知人がいる。あいさつをして、名前を行って、お金を払う。2000円。中は狭いけど、白く塗られていて、そして、周りは、おそらくは演劇の関係者ばかりがいるようだった。
 

 演劇が始まる。大道具の、部屋をあらわしている小屋が、ミニマルでけっこういい感じだった。能楽を見ているせいか、退屈もせず、最初、大げさと思えた演技にもなじんでいく。途中で、声が小さくなったり、といろいろとあったりもする。劇が進んでいく中で、小屋を女優さんが動かすのが自然で、面白いなあ、と思いながら、最後のトラブルが重なるところがコミカルなのかシリアスなのか、よく分からないままにシリアスな終わりにもなってしまい、確かに、どちらかでもなくなった。

 

 人が何かをやっていて、それを見た、という充実感はあった。プロの役者、という凄さも見たような気がした。演技力って、なんだろう、と思う。演技をしていないように見えたら、すごいのか。うまい演技だねえ、と言われるのは、うまい文章だよね、と評価されることと同じなのか、違うのか。とするならば、自分はうまい演技は好きではないかも、と思いながらも、トークの時に、きらきらしたオーラを出している主演女優さんを見て、やはり、人一倍、自意識が強い人がやる仕事であるのは、間違いないとも思う。

 

 トークの中で、日本は、日本人は、ヨーロッパでは、と翻訳家の人が質問したのを皮切りに、大きいくくりの話になったのが、ちょっと残念だった。もう少し具体的な話が聞きたかったからだ。

 でも、見てよかったとは思えた。この作品はイタリアの小説か何かが原作だから、一度は、この劇団の本分であるロシアものを見たいと思った。

 

 

 

 

『演劇の歴史』 アラン・ヴィアラ

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