2009年6月29日。
冬から春にかけてずっとカゼをひいていた。その後は新型インフルエンザの流行で出かけるのをやめていたので、久しぶりにアートを見に出かけられる。
この展覧会は、そのうち一度は行きたいと思っている霧島アートの森という場所から始まったはずだけど、その頃から上野に巡回するのを待っていた。精神科医のコレクションの展覧会で、その病院のそばをバスで通った時に、道路から草間彌生の立体作品が見えたのはやっぱり驚いた。
そして、そのコレクションの内容が、もし自分にお金があったら、この10年間で、揃えたいというような作品ばかりだった。
奈良美智の作品もあって、最近ファンだと分かった人といっしょに行きたいと思って、誘ってみたけれど、連絡がなかったので、妻と二人で月曜日に行くことにした。久々だから、電車に乗っている時から、けっこう楽しい気持ちだった。
会場をめいっぱい使うようにすぐにカーテンがあって、そこには鴻池朋子の立体があった。地元の駅にもこの人の作品がある。立体作品は、特によかった。作家のそのままが出ている感じがした。そして、絵画もあって、アニメーションもあった。月曜日の午後なのに、けっこう人がいた。
奈良美智の作品を見て、その表面がしっとりして見えて、改めていいと思えたり、村上隆のあまり他では見ない作品があったり、池田学の細かい描写の凄さは、ちょっと体に来る感じもする。
いろいろ思って、それからも、妙にはしゃいだ気持ちが続いていた。
秋山さやか、だ。名和晃平だ。会田誠だ。束芋だ。加藤美佳だ。小谷元彦だ。さわひらき だ。できやよいだ。伊藤存のこの作品、トリエンナーレで見たような。加藤泉だ。工藤麻紀子は、確かゲイサイの時にも、この絵を見たような。
青山悟は見たくて、やっと見られたけど、これホントに刺しゅう?三宅信太郎の作品は、これはスターウォーズだったんだ。村瀬恭子もあるんだ。村山留里子って、一度ちゃんと見たかったから見られてよかった、と思ったら妻は持って帰りたいくらい、と言っていた。
こういう風に、知っている作品や、知っている作家が、こんなに並んでいるのは珍しかった。ただ、こうして名前の確認だけをするような鑑賞は、問題もあると思うが、これだけ揃ったのは、やっぱりうれしかった。
須田悦弘の作品も、屏風の裏にちゃんとあった。照屋勇賢は、袋を切って樹木を作っている作品があった。小沢剛のジゾーイングも、なすび画廊もあった。小林孝亘の作品は、目黒美術館の個展の時のものを購入したのか、と意味もなく、うらやましくなったり、町田久美も好きなんだ、高嶺格まであるんだ。山口晃もちゃんと揃えているし、これだけ、自分がいいと思ったアーティストの作品ばかりがあるなんてウソのようにさえ思えたが、今日もけっこう来ている人が多いというのは、今は、知らないうちに、多数の人が支持する作家たちばかりになった、ということかもしれない。
それでも、こういう人達の作品を見てきて、13年がたったのだと、改めて時間を振り返るような気持ちになった。西尾康之の立体作品まである。ゲイサイの第1回のグランプリ受賞者。Mr.の絵画もある。池田光弘って、たしか清澄のギャラリーで見た…。
自分の好みがいつのまにかメジャーなものになっているというよりも、実は10年以上かけて、何かに洗脳されているのだろうか、と怪しむような気持ちにさえなるけれど、でも、これだけ並ぶと何だか自分のこれまでの事まで肯定されたような気持ちにもなる。そして、これだけ自分の好きなアーティストばかりを並べてくれるのは単純に楽しかった。
(2009年の時の記録です。多少の加筆・修正をしています)。