1998年11月22日。
サッカーの日本代表の合宿が、福島県のJビレッジ(原発のそば)で行われることがほとんどになり、だから、その取材のために、いわきへの宿泊も多くなり、昔は平と呼ばれたいわき駅のそばへ泊まった。
あいた時間。練習が午前中だけで終ったので、午後、いわき美術館へ寄ってから、帰ることにした。市民の強い要望で建てられたらしい、ということで、何か特別な印象もあった。
鉄の質感って、やはり特殊で、しかも強さがある。動かなさ、重さ、変わらなさがあって、村岡三郎と、どこかだぶったりもするが、種子を鉄の中に埋め込んだ鉄の固まりや、暗闇を封じ込めた鉄のカプセルや、種と土と水をそれぞれ鉄パイプの中に封印してあったりと、後で考えると、想像力みたいなものを感じたりもするけれど、実際に見ていると、やはり、鉄の存在感のせいか、どこか笑いを許さない熱気を感じる。
グループ「位」を結成し、具体協会、もの派と同じくらい、そのグループは重要とチラシで解説していたが、そのことは、自分の無知もあって知らないままだった。
そういえば、美術館自体は、特別な感じは受けなかったが、常設展のイブ・クラインや、ローゼンクイストがあったりして、少し嬉しかった。そして、河口の作品で、最も印象に残ったのは、もしかしたら、美術館の外側につけられた鉄製の巣箱かもしれない。
(1998年の時の記録です。多少の加筆・修正をしています)。