アート観客   since 1996

1996年からアートを観客として見てきました。その記録を書いていきたいと思います。

センスオブスケ⇔ル展。2019.4.13~6.23。横須賀美術館。

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センスオブスケ⇔ル展。2019.4.13~6.23。横須賀美術館

 

2019年6月11日。

 友人が住んでいる街で、久しぶりに行ったら、本当にいい場所だと思えた。リゾート美術館として、東京駅あたりから送迎バスで、葉山の神奈川県立美術館とのツアーで、リゾートミュージアムズみたいなタイトルで、美術館内でのレストランか何かの食事も付けて、一日ゆったり過ごせたら、気持ちいいし、人も来そうなのに、などと思った。

 

 もう何年も来ていないのに、その心地良さと解放感のある空間は、それほど古びていない印象で、やや曇り空だけど、海がそばに見えて、船が忙しそうに思った以上にたくさん走っているのも思い出し、どちらにしても気持ちよかった。

 

 ロビーには、鈴木康広の日本列島を模したベンチ?があって、そこには座れて、さらには上から撮影できるような場所もあって、さっそく3人でかわるがわる座って写真を撮った。細いところは避けてください、という注意書きをやたらと私だけが気にしてしまったが、折れたら、という気持ちがあったのだと思う。

 

 最初の部屋は、予想と違って、たとえば、顕微鏡を初めて使った日本人のその観察記録だったり、江戸時代に望遠鏡を使って描いた月の姿だったりして、こういう事は拡大、みたいな手段があって、初めて可能になる事だったに違いないが、もしも、前提の知識がなく、たとえば月を見たら、クレーターがあることにけっこう新鮮な驚きみたいなものを感じたり、月への思いがかなり変わったり、といったことはあったのかもしれないとは思った。

 

 次の部屋は写真作品。野村仁。おそらく1年にわたって、太陽のある時刻の位置を記録したものが、空に太陽が8の字を描いたりしている。時間がここにあるのかもしれない。

 

 松江泰治。実際の光景を高いところから撮影などをして、それがまるでミニチュアみたいに見える写真。影がないように撮っているのだろう。日本の秋田の光景。どこだか分からないが、どこにでもあるような光景が並ぶ。それから、世界のお墓がある光景は、団地みたいなお墓があったり、十字架があったり、荒れていたり、不思議な印象があった。

 

 次の部屋は、京浜工業地帯から横須賀までを展示室いっぱいな大きさに描いた作品。平町公。それから、文房具など、身近なものと、小さい人体の人形(自作?)を使用して、その文具の形を十分に生かした作品。田中達也。実際のミニチュアもあるし、写真もあるし、すごくサービスがあふれているように思った。

 

 水平線の鉛筆。それは芯の半分ずつを、違う色にして、それで、一本描くだけで、ああそういえば、水平線になる、と思えるような、作品。鈴木康広。この人の作るものは、商品化しやすいイメージがある。水に浮いた日本列島は、磁石で、今だにはっきりしないが、地図上の方角と同じように配置されるようになっているらしい。なんだか感心する。そして、もっと時間がたってから、ロビーにあった日本列島も、東西南北になっているのではないか、とも思ったのだけど、今、自分がいる場所が、そのまま小さくなっている、と思うだけで、妙な気持ちになる。そこにあるのは、何なのだろう、地図だったらそういう感じがしないのは、平面で、しかも本というか、印刷物という枠の中におさまっていて、違う位置にある、みたいな気持ちに自然となっているせいで、こうして立体みたいになっただけで、これは何?みたいな思いになることに気づく。

 

 高橋勝美。和菓子屋で働いている時に、独学で、その和菓子屋の建物のミニチュアで作り始めて、それ以後、作品を制作している、という人。いろいろすごい。なんだか細かいところを見て、よく出来ている、という感心の仕方を、一緒に見ている妻とする。他の人も、感心を共有しやすい作品だと思った。

 

 岩崎貴宏。広島に生まれ、横須賀に住んでいて、近代の始まり、と終わりの場所、みたいな書き方をしていて、それを、点の集まりみたいなもので、表現している。虫めがねで見て、初めて分かる、コンビ二などのマーク。

 

 高田安規子・政子。姉妹の作品。細やかさだけで出来ているように見える。芝に小さい迷路を刈り込んだような立体を撮影した作品。世界のコインの数字が書かれてないほうを、鉛筆かなにかでこすって、浮き上がらしたものが並んでいる。そして、廊下に出て、小さいハシゴもあったり、あとは、タイルに小さい筋が入っているようなものをはめこんであるものに「修復」というタイトルがついていて、あれ、これ、ここじゃないの?といった話をしていたら、スタッフの方に声をかけられ、その作品がある場所にドアをあけて、連れて行ってくれた。ああ、ここだ、雑草も生えている、みたいな感じになって、なんだかうれしかった。他の場所にもあって、それもあとで見ることが出来て、ちょっと楽しみでもあった。

 

 あとは、所蔵品展を見て、図書館も見て、建物の屋上まで行って、そこに庭があって、これ1日楽しめる、と思って、そのあとにレストランに向かって、その前に、「修復」を見つけて、凄く得した、みたいな気持ちにもなってから、レストランで食事をして、本当にリゾートな気分になれて、ありがたかった。

 

 

 

(2019年の時の記録です。多少の加筆・修正をしています)。

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