2014年3月29日。
まったく知らないアーティストだったけど、テレビで絵を見て、解説を見て、妻と一緒に行こうと思った。絵を描く、というのがどういうことか。そんな事まで考えさせるというよりも、感じさせるような絵に見えた。30代まで写真を撮影していて、それから絵画に転じて、高い評価を得るようになった、という経歴。
地味にも見える花の絵。背景が落ち着いた、というよりも暗い、までいかない内省的な色合い。ちみつに描き込む部分と、粗く描いて違う素材を組み合わせているように見える部分があったりして、それはスーパーリアリズムやシュールレアリズムとは違う、どこか技術的に未熟とも思える方法を選択しているのに、あるようでない世界が、そこにある。だけど、あれこれ技術を駆使していない分だけ、静かな印象だった。
こういうのも有りなんだと思えたが、それがひたすら戦略をねった、というように見えないところで、一枚の絵としてい成立しているようにも見えた。不思議な印象。静かな気配。何も起こっていないのに、普通ではないようにしか見えない画面。人物も多いが、一人もこちらと視線は合わせない。
見てよかった。
まだ絵の可能性があるように見えた。ある意味では、前へ進み続けるのではなく、少し後ろに下がることで、いろいろな事が進化したからこそ新鮮に見えてくる、というマジックみたいな感じがした。
それに映像もあって、それは少女(絶妙な容貌だと思う)が静かに目をふせていて、時々何かを食べる。洋服をきているから、微妙に胃のあたりが動いたような気がする、というような動画だった。色も少なく、押さえてある。
人が思ったよりも、たくさんいた。知り合いにまで会えた。
(2014年当時の記録です。多少の加筆・修正はあります)。