アート観客   since 1996

1996年からアートを観客として見てきました。その記録を書いていきたいと思います。

「ミナ ペルホネン /皆川明 つづく」。2019.11.16~2020.2.16。東京都現代美術館。

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「ミナ ペルホネン /皆川明 つづく」。2019.11.16~2020.2.16。

東京都現代美術館

2020年2月6日。

 妻がとても行きたがっていた。そして、テレビ画面で見ただけだが、皆川氏が、こんなに落ち着けるのか、とちょっと驚いた印象があったが、何しろ、スキがない感じがした。

 

 もうすぐ会期が終わる頃のせいもあるのか、平日なのに、人が多かった。久しぶりに行った、改装後は初めての美術館だったが、受付が微妙に変わったものの、どこが改装されたのか、よく分からない気持ちになったのだけど、それは、何年か閉まっていたから、それだけの時間があれば、見るからに変わるのではないか、といったような思い込みがあったせいだけど、もしかしたら耐震構造にしたのかもしれない、と思ったりもした。

 

 そして、客層はいわゆる裕福な中年女性が多いようにも思えたのは、どこかひがみがあるせいかもしれない。入り口付近から、テキスタイルの豊富さと質の高さを見せつけるような展示で、それも、写真撮影OKだと、その撮影のために、私は撮影をしないので、周囲の方に、なんとなく気を遣いながら鑑賞していたが、妻もすごく撮影をしていて、確かにどれも質が高く、それも長く「つづく」ことを目標に、それを前提に制作をしている、という、下り坂の社会で生き残れるようなことをして、それで販売の実績も作って、生き残ってきている。

 

 そして、白金台にショップがあって、ということを知ると、この前聞いた、経営コンサルタントポッドキャストで言っていたのだけど、世の中には大きくお金が流れている場所があって、という言い方をしていたのを思い出し、もちろん作品の質も高いのだけど、そうした戦略もすごく的確だったのではないか、とも思った。ショップも募集する時に、100歳まで、ということで注目もされて、それは、自分自身も困った時に応募しようと思ったりもしたのだけど、そういうことも隙がなくすごいと思える。

 

 今回も、作品の全体の質の統一感が本当にすごい。

 最近、アニメを見ていて、バビロンというタイトルで、自殺法(法律)がテーマになって、それは生死だけでなく、善悪に踏み込むような内容で、そして、命がかかっているような場面で、善悪がどうなのか、と考え続ける登場人物が、善はつづくこと、悪はとまること、という答えを導き出していた。

 

「つづく」は善だとすると、すごいタイトルだと思い、改めて、皆川氏の、その抑制の効いた話し方が流れる映像を見て、本当にスキがなくて、ちょっと恐さまでかんじたが、でも、見に行ってよかったし、妻はすごくうれしそうだった。

 

(2020年の時の記録です。多少の加筆・修正をしています)。

 

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