アート観客   since 1996

1996年からアートを観客として見てきました。その記録を書いていきたいと思います。

「フランスの風景 樹をめぐる物語」。2016.10.22~12.11。山梨県立美術館。

「フランスの風景 樹をめぐる物語」。2016.10.22~12.11。山梨県立美術館。

 

2016年11月13日

 山梨県甲府に行く機会があり、駅の案内の場所でチラシをもらったら、ちょうどこの日に、「樹木医とめぐる鑑賞ツアー」というのがあったのを知っていたので、用事が終わった後に、それを目標に山梨県立美術館の窓口に行ったら、まだ空いてます、といわれ、少し安心しして、レストランに行って食事をする。早いのはカレー。それも山梨らしいのは、桃かぶどう、といわれて、ぶどうのカレーを食べた。肉が大きかったので、すきまが大きくなっていた歯にはさまり、ずっと気になりつつも、午後1時半が近づいて、集合場所に行ったら、思ったよりも人がいて、おそらくは30名の定員に近い人が来ていた。

 

 美術館のある場所は、芸術の森、というところで、周囲にわりと豊富な樹木があって、そこを、樹木医といわれる人が、いろいろと話をしながら、案内してくれた。本当に好きなんだな、と思って、それを見ているせいもあって、楽しい気持ちにもなる。桂にまつわる話題。その文字は、実はもくせい、の種類の樹木で、その文字だけが先に日本に来て、香りがある、という情報だけがあって、日本にある今の桂の木の葉っぱが落ちて、少し丸まるくらいな古さを持つと甘い香りになる。そのことを、実際に体験させてくれて、それは初めてのことだったし、こんなに甘い香りがするのは、驚きだったり、喜びだったりもした。そうした話以外にも、いろいろと話題があって、すらすらと、自分のものとして話をしてくれると、多少分からなくても、気持ちが入ってきて、なんだか楽しかったが、そうこうするうちに、一時間くらいがたっていた。

 

 少し休んで、そこから、美術館に入る。

 印象派の人たちが住んでいたり、描いていたりする樹木がある風景というのは、パリといった都会から、30分くらいで行ける近めのリゾートが出来て、そこのガイドブックがあるくらいの場所で、だから、その風景画が成立したそうで、その樹木、常緑樹と落葉樹の違いも含めて、樹木医の方が話をしてくれて、その絵の中の自然がわりとリアルだったりとか、そのあとに学芸員の方が話してくれて、それは本当に違う角度からの話を聞けて、見方が変わって行くような感じもあり、楽しかった。

 

 たとえば田園の中に一本だけそびえるような木が描いてあったりすると、それは、知らないで見ると、遠い田舎なのかな、と思ったりもすると、もっとパリといった都会から近い場所で、森を切開く時に、見栄えがいい木を残していて、そういった樹木を描いてあるという話を聞き、絵葉書だったんだ、みたいな気持ちや、観光に深く関係があるんだ、といったことも分かった。

 

 企画のおかげで、見方が明らかに豊かになったと思う。

 企画は、時間内に終わらず、その後、延長戦のように続いて、夕方になり、気がついたら、午後5時も過ぎていて、恩のある方がすすめてくれた北杜夫展が、隣の敷地の文学館でやっていて、ぎりぎりの時間で入った。自身もうつでもあった精神科医でもあって、作家でもある、という存在のありかたが、今までとは全く違う見え方がした。楡家の人々は、読もうと思った。

 

 

 

山梨県立美術館」

https://www.art-museum.pref.yamanashi.jp/

 

 

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