2014年10月9日。
タイトルが分からない。須田悦弘。キュレーションも担当しているらしく、だから、このタイトルも須田が考えたものなのだろうと思うし、これも含めて今回の展覧会の一部、当然だけど、だと思うが、説明的だったり、キャッチーだったりするよりも、立ち止まらせる、という事なのかもしれない、などとも思ったりもする。
チラシには、資生堂の「万物資生」の世界観を展覧会を通じて表現する、という試みと書いてあった。すべてのものは大地の恵みから生まれる。という事を表現する、という事なのだろう。
せいのもとで。というのは、資生という言葉を、生の資本、元手と解釈し、命の源、という意味を込めています、とも書かれている。生の元手。
なんだか、すごいが、かなり最初のテーマから飛躍しているような、だけど、その「せいのもとで」というのが、なんだか逆にキャッチーではあるような気もしてくるから、すごいが、何見て来たの?展覧会。どんな?せいのもとで。え?となりそうでもあり、具体的に誰かに伝えるとなると、なんだか恥ずかしいようにも思う。
ただ、見たかった。須田悦弘の作品も、その言葉も(映像で少し見ただけだけど)興味深く、原美術館で個展を見て以来、すごいと思い続けている人の1人でもあるので、見に行きたかった。
やっと行ける。何度か行こうとして、いろいろあって、延期に、勝手になっていた。
銀座。ギャラリーは、入っていくところの階段から、少しドラマチックでかっこいい。平日なのに、中年女性の方々でけっこうにぎわっている。志村ふくみの作品。糸をそのまま、というよりは、糸そのものの美しさを、際立つように、見せてくれている作品が大きくて、目立つが、受付には須田自身の椿の作品が2つ並んでいる。製作年代に、10年ほどの開きがあるが、どれかは分からない。そして、探したけど、もう一つあるはずの作品が最後まで分からなかった。
そして、クリスティアーネ・レーアの作品は、植物を乾燥させて配置させた細やかな作品。さらには鏡を使ったいつもの(という言い方も失礼だけど)宮島達男の作品は、少し暗くなっている会場で、きれいだった。鏡の中に点滅するデジタルな数字が、ランダムな並び方をしていて壁の角を使って配置されているので、十字に見える感じとか、かっこよかった。
ビデオ作品は、薄暗いところで何かしている、というようにしか見えなかったが、それはいくつものごく短い、といっても2分くらいから15分くらいで、全部見ると、1時間くらいはかかると思う、映像作品で、それは、銀閣 慈照寺 研修道場の花方教授である(そんな仕事があるのも初めて知ったが)珠寳(しゅほう)という人が花を生ける姿を記録したもので、それは確かに何かぴしっとしていて、花を生ける、というものの一つの正しい基準を見た気がして、おもしろかった。
須田の椿の花の作品は、隣のザ・ギンザの1階に設置してある、と書いてあったが、そこの中は圧力がすごかったものの、がんばって入って、だけど見つけられなかった。
(2014年の時の記録です。多少の加筆・修正をしています)。