アート観客   since 1996

1996年からアートを観客として見てきました。その記録を書いていきたいと思います。

「CHAOS*LOUNGE 2010」。2010.4.10~4.18。高橋コレクション日比谷。

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「CHAOS*LUUNGE 2010」。2010.4.10~4.18。

高橋コレクション日比谷。

2010年4月15日。

 

 久しぶりにアートを見に行くことにしていた。12時少し過ぎたけれど、日比谷に向かって電車を乗り継いで、そして、雨が降っている中で出口を出たら、わりとすぐに高橋コレクションがあって、草間弥生の水玉が呼んでいた。

 

 展覧会場の中は、乱雑に見えた。大竹伸朗を思い出しながら、まったく違う印象を受けたのは、意志というか目的よりも、情報みたいなものがあふれていたことだった。そこに何かの色を塗りたくる、といった感じの過剰さみたいなものは、これは、どれだけ真似しようが、努力しようが、出てこないものだと思うけれど、インクジェットで出力した様々な、めちゃくちゃと思えるような色と形の洪水(ではないかもしれない。もっと違う種類の形容が必要だと思えるところが今の作品なのかもしれない)があった。時々、少しひりひりするような種類のリアルさが確かにあるような気もしたが、個別にどれがいいとか、悪いとか、私には明らかに判定できないのが分かったような気もして、とまどいをおぼえる感じもあって、だから見に来てよかった、と思えた。やっと新しいものが出てきたと感じた。

 

 無数の人間の意志というか欲望が膨大に集まり、からまっているのを目に見える形として表したもの、という事かもしれなかった。たまたま知り合いの人にあって、少し話をした。そこで、あるベテランのアーティストが、この作品に脅威を感じた。それは、これまでは自分が作った作品の影響からの作品があったとしても、違うものが出てこなかったけど、初めて、違うものが出てきたから、といった話を聞いた。

 

 確かに、そんな話がうなずける作品が展示会場にあった。個別な作家のことよりも、全体的な印象が、違うものが出てきた気持ちになれたのは、うれしかった。

 

 伊藤存高嶺格村上隆の作品もあった。

 

 

 カオスラウンジからのアーティストの名前は、恥ずかしながら、ほぼ知らない人ばかりだった。

 

泉和良アンディー・メンテ

一輪社

梅沢和木

ob(オビ)

琴葉とこ

死霊のすがわら

だつお(青柳菜摘)

智子

ひきたさおり

藤城嘘とポストポッパーズ

 

 

本展キュレーター

 

黒瀬陽平

藤城嘘

 

チラシの裏の言葉。

『「カオス*ラウンジ」とは、アーティスト・藤城嘘によって2008年から行われている展示&ライブイベント企画です。カオス*ラウンジのアーティストの多くは、制作・発表ともにネットを中心として活動しています。その環境は、ここ10年〜15年における日本社会の高度な情報化や、深刻なポストモダン化を正確に反映したものであると言えるでしょう。そこでは「情報」と「物(作品)」や、「匿名性(消費者)」と「有名性(作家)」などの分断が深刻化し、彼らの活動をアートとして紹介する際の大きな障害となってきました。ゼロ年代(2000年〜2009年代)と呼ばれる時代に、彼らの存在が表面化しなかった大きな理由の一つとして「ネット」や「情報」を前提にした作品の扱いにくさがあったと言えるでしょう。「カオス*ラウンジ2010in高橋コレクション日比谷」では、カオス*ラウンジの作品と、それらのルーツとも言うべき先行世代の作品を同時に展示し、これからますます深刻化するであろう「ネット」と「アート」の分断を克服するためのヴィジョンを示してゆきます』。

 

(2010年の時の記録です。多少の加筆・修正をしています)。

 

chaosxlounge.com