2003年4月13日。
岡本太郎美術館へ行く時は、なんだかわくわくする。
それは、やっぱり、どこか万博の香りみたいなものがするせいだろうが、今だに、そういうものにどこか洗脳されているみたいで、感心したり、あきれたりもする。
駅から遠いのが、この美術館の最大の欠点だと思うが、緑地公園なわけだし、もし、駅からもっと歩きやすい、歩いていて楽しい歩道というか通路みたいなものを作れば、もっと人が来るかもしれない。だけど、この日かどうか忘れたが、公園内をジョギングする中年夫妻が、岡本太郎の悪口みたいなものを、まだ言っていたから、それほど、一般的に広く支持されているわけではないのかもしれない。
常設展の入り口は薄暗く、太陽の塔にあったような顔が真っ赤で、迎えてくれる。そして、その会場で岡本太郎の作品を見る。岡本太郎がしゃべっている姿がビデオで流れている。芸術は爆発だ!と叫んでいるCMが今も流れている。
企画展は、2人の展覧会。粟野ユミトと藤阪新吾。
粟野は、外で角砂糖を針金か何かにさして、それを大量に並べ、それを何日も置いておくという作品だったが、行った時は、すでに砂糖の形は何も残っていなかった。でも、想像しただけで、けっこう面白かった。
他にも、なにか繊細そうな作品が並べられていたが、あまり後になって憶えていない。でも、それは皮肉ではなく、よかった、と思っている。
藤阪は、「よいこの学習」と名付けられた作品が、展示室で目立った。水槽の中にでかい顔。それは子供なんだろう。それが、木の机に乗って何十個も並んでいる。椅子もついている。1人、中年男性がその椅子に座っていて、最初は作品かと思った。その人の表情は、ウソみたいだが、疲れていた。
他の作品では、それほど憶えていないが、恋愛と名付けられた映像作品。それは岡本太郎がしゃべっている姿と岡本敏子がしゃべっている姿が並んで壁に映されていて、そのしぐさが、笑ってしまうくらいそっくりな瞬間がかなり出てくる。もちろん、それを狙っての編集的な作業はあるのだろうけど、それを超えて、すごく似ている。違うのだけど、同じ時計を並べた「パーフェクトラバーズ」という作品を思い出す。今は、亡くなったフェリックス・ゴンザレス=トレスという人の作品だった。
後の人は、それほど強く印象に残ったわけではないけれど、宇治野宗輝の文字を立体化したようなもの。この人は、ゴージャラスだった。そして、作間敏宏の「コロニー」が、外にあった。いくつもの、たくさんの風車が地面にさしてあって、風で回っている。それは、ガン細胞がプリントされているフィルムだという。すごく分かりにくいが、分かるような気がする。
全体で、知らない人ばかりだったけれど、やはり面白いと思った。
(2003年の時の記録です。多少の加筆・修正はしています)。