アート観客   since 1996

1996年からアートを観客として見てきました。その記録を書いていきたいと思います。

タタラ・タラ個展「嫌いな中でも生きている」。2018.5.12~5.20。TATARABA「ナオナカムラ」。

f:id:artaudience:20211021100810j:plain

タタラ・タラ個展「嫌いな中でも生きている」。2018.5.12~5.20。TATARABA「ナオナカムラ」。

2018年5月19日。

 前回の展覧会を、別の場所でDMを見て、新馬場で降りて、来て、こんな目立たない場所でギャラリーがあるんだ、と思って、そして、次が、「形式的思考障がい」という障害を持った人が作家として作品を作る、ということにも興味が出て、行って見たいと思うようになった。

 

 DMは、階段をロープを使って、登っている作家らしき人の写真。

 ギャラリーに入ると、映像と音。分からないものも含めて、作品が並んでいる。大きい映像では、口をあける。腕をかく。眼鏡をあげる、という動作をする作家本人の映像に、それを明るめのナレーションの声が重なる、という作品。

 

「ワタシク的動詞」。どうやら嫌いのものをやっているらしいが、と思っていたら、作家本人が別の人に説明していて、自分の嫌いな動作をしている、ということらしく、このギャラリーの中の作品すべては、そういうもののようだった。

 

「がんばれ!一瞬歯磨き粉」は、歯ブラシと虫(しろいいもむし)がいて、動いているから、もしかして、これがもっと小さくて、歯ブラシに乗せたら歯磨き粉に見える、ということで、苦手克服みたいなことなのかな、と思い、それから、「〜階段怖いー それでも私は挑み続けるーそこに階段があるから〜」は、この近所の品川神社の階段を絶壁を登る装備をして、階段を登っている姿を記録したり、品川駅の階段で登っている姿があったりしていて、それを見ていると、ああ本気なんだ、というのが分かった気がした。本当に苦手なんだろうな、と思える。

 

「食べることを拒否する菌」は、キノコに色がついていた。

「タラちゃん走る」は、音がして、走る足が映っていた。

 

 歯磨きをじっと見ていたら、どうしようか、という迷いと共に、作家が話しかけてくれた。1984年生まれ。女子美を卒業し、デザイナーをして、「形式的思考障害」と診断され、いきなり障害者になってしまい、その中で作品を作り続けて来て、という人らしい。

 

 タラちゃん走る、は走るのが苦手だけど、自分はタタラが本名でずっとタラちゃんと呼ばれて来たから、走る姿にタラちゃんの走る音をつけたら楽しいかも、ということで作った映像らしい。でも、走る時は変わらなくて、作る時だけでは?と聞いたら、編集の時は楽しかったです、という答え。

 

 他にも作品の説明をしてもらったり、「形式的思考障害」のことも教えてもらった。ウソがない言葉は強くて気持ちがよかった。

 

 帰りに、ほうれん草に負けた(?)バッチを買った。2つ一組で、ほうれん草の根っこを下から撮影したような画像は、確かにちょっと乳首っぽい。左右違うんです、と教えてもらう。1000円。

 

 次の日。ツイッターで、このスペースもなくなることを知った。

 最後の展覧会だったんだ、と思った。

 また行こうと思っていたのだけど。

 

(2018年の時の記録です。多少の加筆・修正をしています)。

amzn.to