1997年4月。
はかない。
頼りない。
消えるか、消えないか、その境目。
うつろいゆく。
それを、作品として作り、それを人にも自分が感じたのと同じようにどう伝えるか。
難しいと思う。それにうまくいっても、受け入れない人は全然受け付けない。
そんな作品を、ワタリウム美術館のそばの「ギャラリー アート スペース」で見た。
今、蒸発しようとしている水。次の瞬間には違う形をしているに違いない雲。木にやや曖昧に描かれた蝉のような形。そんな光景を撮影し、スライドで上映している。
床には、一見なんだか分からない白いゴミにも見える散乱物。これは、塩で作った船を海岸に置き、それをそのままどう変化するかを記録し、その最終的なものが、ここにある散乱物に似たものだった。
妻は凄く気にいっていた。細かく、はかないものが、うまく表現してあるということだと思う。
北 直以。
「仮構の風景」
1、海に帰る−海水が辛い理由−
2、昼寝の練習
3、鳴草
4、幻影
5、空に消える
こうした作品を同じテンションを保ちつつ、それもはかなさを伝え続けるのは、こちらが思う以上に大変かもしれないが、これからどうしていくかは、見てみたい。観客は勝手なものだと思う。
(1997年の時の記録です。多少の加筆・修正をしています)。