アート観客   since 1996

1996年からアートを観客として見てきました。その記録を書いていきたいと思います。

2023-01-01から1年間の記事一覧

近内悠太 連続講座第7回 『ケアと利他、ときどきアナキズム』。特別ゲスト:小川公代。2023.8.6。隣町珈琲。

近内悠太 連続講座第7回 『ケアと利他、ときどきアナキズム』。特別ゲスト:小川公代。2023.8.6。隣町珈琲。 https://peatix.com/event/3639278?lang=ja 「ケアの倫理とエンパワーメント」を読んで、過去の文学作品も、視点を変えれば、違う読み方もできる…

書籍 『アウトサイダー・アート入門』 椹木野衣 

amzn.to 思った以上に、興味深く、面白い本だった。 アウトサイダー・アートという言葉がよく聞かれるようになったのは、1993年の世田谷美術館 パラレルビジョン展以来だという。 「アウトサイダー・アート」という語には、様々な負の要素がつきまとって…

『日々』村松佑樹。2023.8.26~9.17。LEESAYA。

『日々』村松佑樹。2023.8.26~9.17。LEESAYA。 以前、初めて訪れたギャラリーは、昔、友人のアパートによく通っていた街にあった。それも、あまりアートとは関係のない商店街の隅に、急に現れるようにあって、それも含めて新鮮な経験になった。 今回は、駅か…

書籍 『アート・パワー』 ボリス・グロイス 

『アート・パワー』 ボリス・グロイス https://amzn.to/468hfVd 訳者あとがきによれば、この著者が重要なのは、「アートとは何か?」を正面から問い続けているから、ということらしい。そういえば、この本は、すごく社会の中のアートといったことも意識して…

「大田区アートスポット巡り」④洗足池〜中島崇アトリエ。2023.9.3。大田区文化振興協会。

空豆 (洗足池 ギャラリー) 洗足池 暑さは続いている。 体力不足の私と妻にとっては、梅屋敷からの移動も問題だった。 梅屋敷から蒲田駅までは歩いて20分ほど。最初は大丈夫かとも思っていたが、ここまでも、色々と見て回ったせいもあって、バスを利用す…

大田区アートスポット巡り③KOCA。2023.9.3。大田区文化振興協会。

KOCA バスに乗って、視界が広いところを走って、天気も良くて、などと思って、あとはバスの中の冷房が効きすぎないように調整をして、そのうちに目的のバス停に着く。スタッフの方が、ツアーの方は、ここで降ります、と声をかけてくれる。集団行動、が新鮮だ…

「大田区アートスポット巡り」②ART FACTORY 城南島 スタジオ。2023.9.3。

ART FACTORY 城南島 スタジオ www.artfactory-j.com 三島喜美代の常設の作品だけではなく、この施設の上階にある「スタジオ」を見学することもできる。ここは、かなりの数のスタジオがあって、そこはアーティストに貸与されている。そして、そこは普通に考え…

「大田区アートスポット巡り」①三島喜美代。2023.9.3。大田区文化振興協会。

ART FACTORY 城南島 三島喜美代 最近、地元の東京都大田区ではアート関連のプロジェクトが多いように思う。 そして、何度か参加したせいもあって、新しいプロジェクトのお知らせのメールが来るようになった。 https://www.ota-bunka.or.jp/recruit/recruit01…

書籍 『演技と演出』 平田オリザ

『演技と演出』 平田オリザ https://amzn.to/3PqA7cy 演劇とは何か、みたいなことを、私自身は、演劇というものに対して未熟だとは思うけど、それでも、専門家として、真っ正面から考えている本だと思った。 すごいと思った言葉は、いくつもあった。こういう…

『植物百貨店』。2013.7.27。Hasu no hana。

『植物百貨店』。2013.7.27。Hasu no hana。 このギャラリーは時々、いつもとは違って、マーケットのような場所になることがある。 今回は、「植物」をテーマとして、さまざまな人が「作品」や「商品」を持ち寄る形になっている。 楽しそうな空気になった。 …

書籍『芸術の設計 見る/作ることのアプリケーション』 岡崎乾二郎 

『芸術の設計 見る/作ることのアプリケーション』 岡崎乾二郎 https://amzn.to/45Cju3q 作品を作るだけではなく、批評もする、ある意味で圧倒的な存在で、独特な人が岡崎乾二郎で、どこか近寄りがたい存在でもあった。 この本も、以前から、そういえば図書…

「指先から色色」in 鵜の森手作り市。2013.7.20。Hasu no hana。

「指先から色色」in 鵜の森手作り市。2013.7.20。Hasu no hana。 手作り市。 いつもとは違って、さまざまな手作りのものが並ぶ。 少しホッとするような空間になっている。 いわぶちふみこ・しのづかともこ+みやぞえびんこ+鵜の木仲間たち 毛糸/刺繍/オリジ…

書籍 『戦争画とニッポン』 椹木野衣×会田誠

『戦争画とニッポン』 椹木野衣×会田誠 https://amzn.to/3ElU9ig 戦争画は、美術館に所蔵されているのに、見る機会は極端に少ない。 会田誠は、現代美術界の中でも、戦争画に対して、関心を持ち続け、作品としても制作しているアーティストで、椹木野衣は、…

町工BAR vol.19「循環する鉄」。 鉄アーティスト・長坂絵夢×職人・伊藤由博「(有)伊藤精機」。(モデレーター・フクマカズエ)。2017.10.28。くりらぼ多摩川。

町工BAR vol.19「循環する鉄」 鉄アーティスト・長坂絵夢×職人・伊藤由博「(有)伊藤精機」。(モデレーター・フクマカズエ)。2017.10.28。くりらぼ多摩川。 2017年10月28日 トークショーに行こうとして、初めての場所に行った。 人がいた。わりと…

書籍『誰のためのデザイン?』 D.A.ノーマン

amzn.to 認知工学者、認知科学者でもある著者がデザイナーであることで、おそらく初めてわかることが書かれているような気がした。 デザインで使いやすが圧倒的に変わるし、事故につながるかどうかも知った。それだけ重要なことなのは間違いないようだ。 例…

寺村サチコ展『さよなら、嘘だけど』。2018.7.7~28。Hasu no hana。

寺村サチコ展『さよなら、嘘だけど』。2018.7.7~28。Hasu no hana。 柔らかい世界が広がる。 作品の素材は、シルクオーガンジー。 今回は、孔雀をモチーフとしたインスタレーションということだったのだけど、そういう華やかさと、やや得体の知れない感じも…

書籍 『レストランの新しいデザート』 柴田書店

レストラン エル・ブジの話をある雑誌で読んだ時、衝撃だったのは、そのコンセプトだった。たとえば、泡を料理として出す。まるで科学実験のような、さらには本当にアートのようなメニューに感じた。 スペインの予約が取れない人気レストランに、自分では行…

坂田あづみ展『混沌と秩序(chaos and order)』。2018.6.2~15。Hasu no hana。

坂田あづみ展『混沌と秩序(chaos and order)』。2018.6.2~15。Hasu no hana。 布やリボンや糸。 日常の中にあるものを使って、ギャラリーが別の世界になっている。 それは、どこか過剰な部分があるせいかもしれない。 『坂田あづみは、自身の中に湧き起こ…

『植物と歩く』。2023.7.2~8.25。練馬区立美術館。

『植物と歩く』。2023.7.2~8.25。練馬区立美術館。 昔と比べて「植物」に興味を持つようになったのは、植物好きの妻の影響を思った以上に受けているせいだと思う。 だから、夏にどこかに行きたいと思ったときに、「植物」をテーマにした展覧会があるのを知っ…

書籍 『立体交差/ジャンクション』 大山顕 

東京都大田区主催の建築関係の表彰式みたいなものがあり、そこで講演会があり、大山の話を初めて聞いたのは2018年だった。その前に著書も読み、ある程度の予想があり、だから、聞きに行ったのだけど、事前の想像をはるかに超えて、面白かった。そんな粗…

「あなたのアートを誰に見せますか?」。 2023.8.8~8.27。東京藝術大学大学美術館 陳列館。

『あなたのアートを誰に見せますか?』 http://who.oh-mame.com 『社会の様々な問題に向き合うアーティストの作品を通して、孤独、身体とセクシャリティ、人間と自然の関係、他者との協働や連帯など、さまざまな今日的問題について考えます。さらに「オーデ…

書籍 『水中の哲学者たち』 永井玲衣

『水中の哲学者たち』 永井玲衣 https://amzn.to/3YK2Hc2 哲学カフェ。 最初は、怖くもあったのだけど、実際は、自由で誠実な場所であって、だから、考えることの必要性だけでなく、その楽しさも少しわかったような気がする。それは、最初に行った場所に恵ま…

『鵜の森手作り市vol.③+ゲリラペケ市』。2013.3.16。Hasu no hana。

『鵜の森手作り市vol.③+ゲリラペケ市』。2013.3.16。Hasu no hana。 ギャラリーが小さなお祭りのようになる企画が3回目になると、やっぱりちょっとうれしい。 『大田区に住んでいる人、「Hasu no hana」にゆかりのある人が中心になって、みんなでつくる「…

書籍 『新写真論 スマホと顔』 大山顕

『新写真論 スマホと顔』 大山顕 https://amzn.to/3schqjE 写真論」という題名がついているが、ここでは、どうすれば「いい写真が撮れるか?」とか「どのような写真が優れた写真なのか」といった話は、ほとんどされていないと思う。ただ、厳密にいえば、それ…

『マティス展』。2023.4.27~8.20。東京都美術館

『マティス展』。2023.4.27~8.20。東京都美術館 もうずいぶん昔になるけれど、マティスの作品を初めて見た時の印象は覚えている。 赤い部屋が描かれているのだけど、その赤の塗り方が、そばに行ってみると、明らかに塗り方が粗くなっている。それは、レンブ…

書籍 写真集 『うれしい生活』 植本一子  

写真集 『うれしい生活』 植本一子 https://amzn.to/45lsSYG ありそうでない、毎日を記録しているという写真集。 そういう意味では、共感もできそうだった。 今回の写真集は、夫であるラッパーのECDが病気になり、闘病し、亡くなることまでも記録されている…

『鵜の森手作り市 vol.②』。2012.9.29。Hasu no hana。

『鵜の森手作り市 vol.②』。2012.9.29。Hasu no hana。 昨年、できたギャラリー。 町にアートがやってきて、とてもありがたい。 その上、こうしたイベントもあって、楽しかった。 『大田区に住んでいる人、「Hasu no hana」にゆかりのある人が中心になって、…

書籍 『野球短歌 さっきまでセ界が全滅したことを私はぜんぜん知らなかった』 池松舞

保坂和志の「小説思考塾」に、保坂氏の対話相手として登場して、そのことで、この著者を初めて知った。 『保坂和志 小説的思考塾 vol.11』 http://hosakakazushi.com/?p=1498 それで、『野球短歌』-----どうしても、短歌や俳句など定型詩に関しては、気持…

「メキシコのゆかいな日常マーケット」。2012.12.15~16。Hasu no hana。

「メキシコのゆかいな日常マーケット」。2012.12.15~16。Hasu no hana。 いつもはあまり見たことがないようなものがギャラリーに並ぶ。 それだけで、やっぱり、いつもとは違う場所になる。 マーケットの企画のときには、毎回、そんなことを思う。 「メキシコ…

書籍 『現代アートとは何か』 小崎哲哉  

『現代アートとは何か』 小崎哲哉 現代アートとは何か | 小崎哲哉 |本 | 通販 | Amazon バランスがいい本だと思う。現代アートに関する要素、これだけの幅を、比較的、遠慮なく書ける(ように見える)人は、こういう立場しか無理なのかもしれない。カルチャ…