アート観客   since 1996

1996年からアートを観客として見てきました。その記録を書いていきたいと思います。

2023-01-01から1年間の記事一覧

「鵜の森手作り市」。2012.6.30。Hasu no hana CAFÉ。

「鵜の森手作り市」。2012.6.30。Hasu no hana CAFÉ。 ギャラリーができて、1年以上が経つ。 地元・東京都大田区に住んでいる人や、このギャラリーにゆかりがある人たちが中心になって、「手作り市」が開かれる。 1日だけだけど、ささやかなお祭りのようで…

近内悠太 連続講座 第6回「ケアと利他、ときどきアーナキズム」。2023.7.17。隣町珈琲。

それほど、頻繁にはないけれど、本を読んでいて、ある言葉が印象に残って、その著者のことも忘れないことがある。 『世界は贈与でできている』 近内悠太 https://amzn.to/3QAwUZb 誰にも迷惑をかけない社会とは、定義上、自分の存在が誰からも必要とされない…

高橋銑『聞かれなかった声』。2023.7.15~8.6。LEESAYA。

高橋銑『聞かれなかった声』。2023.7.15~8.6。LEESAYA。 気がついたらギャラリーは閉まっていたり、新しく開かれていたり、それから、やたらと移転することも多い。だから、気がついたら、知らないギャラリーができていることがある。 今回も、そうだった。…

書籍 『近代を彫刻/超克する』 小田原のどか

amzn.to 以前から、公共空間の彫刻に関しては、自分が思った以上に気になっていたことを、この本を読んで、改めて分かったし、彫刻は、ずっと公共空間に存在するだけに、やはり重い思惑があることを確認できたような気がした。著者自身が、現代という時代に…

メキシコの小さな陶器市。2018.5.19~25。Hasu no hana。

メキシコの小さな陶器市。2018.5.19~25。Hasu no hana。 行ったことがない国の、陶器が並ぶ。 食事に使ったりするから、似ているけれど、やっぱり違う。 違うと思うのは、どうしてなのだろう、などと考えたりもする。 『手しごとであふれる国メキシコ。それ…

書籍 『現代美術史  欧米、日本、トランスナショナル』 山本浩貴

『現代美術史 欧米、日本、トランスナショナル』 山本浩貴 https://www.kinokuniya.co.jp/f/dsg-01-9784121025623 明らかに、これまでとは違う視点から書かれた美術史だと感じた。 それは、著者の経歴とも関係があるようだけど、読んでいると、これが現代美…

キタムラマサコ展『葉壜に芽吹く春』。2018.4.7~15。Hasu no hana。

キタムラマサコ展『葉壜に芽吹く春』。2018.4.7~15。Hasu no hana。 いわゆる花瓶が並んでいる。 ガラスで、軽やかで、でも、少し形が違うだけで、新鮮な印象になる。 いわゆるリサイクル、の手法なのだけど、それだけではない要素を加えている感じがする。 …

 書籍 『みんなの現代アート  大衆に媚びを売る方法、あるいはアートがアートであるために』。グレイソン・ベリー

『みんなの現代アート 大衆に媚びを売る方法、あるいはアートがアートであるために』。グレイソン・ベリー https://amzn.to/47aVntL 著者は、1960年生まれ。 2003年に、アート界では重要な賞であるターナー賞を受賞している現役のアーティストでもあ…

渋田薫展『サロルンカムイ』。2023.7.6~7.30。Hasu no hana。

渋田薫展『サロルンカムイ』。2023.7.6~7.30。Hasu no hana。 久しぶりに、戸越公園駅で妻と待ち合わせをして、ギャラリーの「Hasu no hana」に行った。今回の展覧会は、渋田薫展『サロルンカムイ』だった。 https://www.hasunohana.net/shibutakaoru ギャラ…

映画「教育と愛国」上映&トーク。2023.2.23。立教大学。

映画「教育と愛国」上映&トーク。2023.2.23。立教大学。 ラジオから「教育と愛国」という言葉が聞こえてきて、映画を上映すると知った。 それは、立教大学での催しで、社会学部のゼミが主催しているらしいと知り、トークもあることも聞こえてきた。本来は、…

書籍 『コンクリート魂  浅野祥雲大全』 大竹俊之

amzn.to 小学生の頃、中部地方に住んでいた。 そのとき、何度か家族でドライブで行った場所が、『桃太郎神社』だった。 そこに犬、キジ、猿、桃太郎、だけではなく、鬼の銅像もあったが、それが不思議な佇まいだったのは印象に残っている。 それから、何十年…

多摩川オープンアトリエ 2017。2017.12.9-12.10。Hasu no hana他。

多摩川オープンアトリエ 2017。2017.12.9-12.10。Hasu no hana他。 このギャラリー単独ではなく、近隣のアーティストとのつながりで、会場が5ヶ所なので、散歩のように、近くとはいっても、あまり行ったことがない道を歩いたりもできた。 この「多摩川オー…

書籍 『なりたいのは建築家』 ローランド・ハーゲンバーグ

amzn.to 日本の建築家 24人へのインタビュー。 ハーゲンバーグ,ローランドオーストリア生まれ、ウィーンで育つ。マルチメディアアーティストとして、“VOGUE”や“Architectural Digest”などに寄稿。1995年より日本に移り、建築とデザインの世界を追っている…

中山恵美子展『Inspiration』。2018.3.18~4.1。Hasu no hana。

中山恵美子展『Inspiration』。2018.3.18~4.1。Hasu no hana。 このギャラリーでは、独自の公募展をおこない、受賞者の個展を開催するということを続けている。 地道にアート界にも貢献している。 ギャラリーの地元の住民に過ぎないけれど、やっぱり少し誇ら…

書籍 『13歳からのアート思考』 末永幸歩

『13歳からのアート思考』 末永幸歩 https://amzn.to/474euWg 冒頭で、モネの睡蓮について、語られている。 モネが、自宅の庭の池に咲く睡蓮を、ずっと描き続けたことは、よく知られている。 ある少年が、この絵画には、カエルがいる、と話し、それで、隅…

長坂絵夢展『fallen leves – corrosion-』。2017.12.9~24。Hasu no hana。

長坂絵夢展『fallen leves – corrosion-』。2017.12.9~24。Hasu no hana。 鉄で製作された植物。 それは、さびている。というより、さびることも含めて、作品にしている。 時間も作品にしているのだと思った。 『2016〜2017年にかけては、製鉄会社、…

書籍 『現代アートを殺さないために ソフトな恐怖政治と表現の自由』 小崎哲哉 

amzn.to 自分がこんなにアート関係者に関して知らないことを、知らなかった。 「ART IT」を創刊した人。カルチャーウェブマガジン「REAL KYOTO」発行人。著作を読み、ジャーナリストという役割をきちんと全うしようとしている人、という印象になった。 こう…

高橋キョウシロウ『ビビ・デ・ダンス』出版記念展。2018.2.17~3.7。Hasu no hana。

高橋キョウシロウ『ビビ・デ・ダンス』出版記念展。2018.2.17~3.7。Hasu no hana。 このギャラリーの正式なオープンも、この作家の作品だった。 だから、印象も強い。 あ、この人の作品だ。 そう思える独特さがあるけれど、それが押し付けがましいわけではな…

書籍 『TOKYO POPから始まる』 小松崎 拓男

2022年に出版された書籍の表紙の写真を見て、その作品をつくったアーティストも、どこで見たのかも、瞬時に思い出した。 (『TOKYO POPから始まる』 小松崎 拓男) https://amzn.to/3XW59vA 表紙の作品は、奈良美智が作者だった。この作品が設置されてい…

小方英理子展『DOLLS』。2018.1.14~2.4。Hasu no hana。

小方英理子展『DOLLS』。2018.1.14~2.4。Hasu no hana。 焼き物の人形が、ベッドのように見える場所に置かれている。 いくつも並ぶ。 とても静かな空間になっている。 『DOLLS-陶器の人形- 一歳の誕生日、娘に人形を贈った。 羊毛と布を使い、夜中に隠れて作…

2014年 「美術手帖」第15回「芸術評論」落選原稿。「村上隆は、どうしてそんなに嫌われるのか」。

「美術手帖」サイト https://bijutsutecho.com 1996年に急にアートに興味を持ち、『美術手帖』という専門誌も時々買うようになり、そこで「芸術評論」を募集しているのを知り、初めて応募したのが、第12回の2003年だった。まるで、村上隆と奈良美…

倉谷卓 展『Photographic Violence』。2017.11.25~12.3。Hasu no hana。

倉谷卓 展『Photographic Violence』。2017.11.25~12.3。Hasu no hana。 写真展。 写真を、さらに撮影した写真が並ぶ。 SNSが発展して以来、写真の存在の意味が確かに変わったことを、改めて思い出したりもする。 『近年では、他者が何らかの目的のために撮…

サンボマスター【1st 日本武道館2017】〜そのたてものに用がある〜。2017.12.3。日本武道館。

サンボマスター【1st 日本武道館2017】〜そのたてものに用がある〜。2017.12.3。日本武道館。 2017年12月3日。 最寄りの駅で降りてから、初めての武道館までは、意外と近い場所だった。サンボのグッズを着ているファンが何人も歩いている。ゆる…

宝槻稔 写真展『顔と貌 Face &Shape』。2017.10.28~11.5。Hasu no hana。

宝槻稔 写真展『顔と貌 Face &Shape』。2017.10.28~11.5。Hasu no hana。 写真展。 人の顔の「形」の不思議さ。 ものの「形」の美しさ。 そんな写真が並んでいる。静かなたたずまいだった。 人の顔。 『「Eyes is the wind of the mind」 古く、人々は神の像…

ダースレイダーxプチ鹿島 #ヒルカラナンデス(仮)特別版 【#ヨルカラナンデス!Vol.12】。2022.10.18。阿佐ヶ谷ロフトA。

ダースレイダーxプチ鹿島 #ヒルカラナンデス(仮)特別版 【#ヨルカラナンデス!Vol.12】。2022.10.18。阿佐ヶ谷ロフトA。 https://www.loft-prj.co.jp/schedule/lofta/230031 ここ何年かは、さまざまな新聞を読み込むことで、新たな視点を提示してきたプチ…

松下誠子展『Gun-zo』。2017.10.14~25。Hasu no hana。

松下誠子展『Gun-zo』。2017.10.14~25。Hasu no hana。 この作家の個展は、このギャラリーでは2度目だった。 人物が、とてもしっかりと、そこにいて、それでいて、静かな威厳のようなものも感じる。存在感のある作品だという印象だった。 今回も、形式が変…

保坂和志『小説的思考塾』vol.11。2023.6.3。オンライン

保坂和志『小説的思考塾』vol.11 http://hosakakazushi.com/?p=1498 最初は、リアルイベントに、そのあとはオンライン開催になって、時々、参加している。 いつも、どうしようか、と迷うのは、すごく大事なことが語られるのだろうし、視聴している時は、す…

LI AM プロジェクト『グアテマラ・ピクビル織り』展。2017.10.6~10。Hasu no hana。

LI AM プロジェクト『グアテマラ・ピクビル織り』展。2017.10.6~10。Hasu no hana。 織り物が並ぶ。 それも、自分にとって、ほとんど知らない織り物が多いのに、今回は、その中でも珍しいグアテマラの織り物だった。 『ピクビル織りとは、グアテマラの北部・…

『辻田真佐憲×西田亮介×東浩紀 『21世紀』は「2022年」から始まった』。2022.12.29。ゲンロンカフェ。

『21世紀』は「2022年」から始まった』。 辻田真佐憲×西田亮介×東浩紀 https://genron-cafe.jp/event/20221229/ 中年になってからの再びの「就職活動」をしたとき、履歴書は送ってもすぐにポストに戻り続け、「お祈りメール」ばかりが届いたり、何の反…

指田容史子展『いつもそこにいてくれた』。2017.9.16~24。Hasu no hana。

指田容史子展『いつもそこにいてくれた』。2017.9.16~24。Hasu no hana。 箱庭プールという作品が、そのたたずまいも、そのネーミングも、印象が強く、同時に、その内省的な気配も、とても良かったのを覚えている。今回も、衣服という身近なものが、遠くなる…